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インフラ

国内唯一のLNGスタンド、赤字続き今月末閉鎖

液化天然ガス(LNG)を燃料とするトラックの国内への普及が断たれようとしている。大阪市住之江区にある国内で唯一のLNGスタンドを運営するエネクスフリート(青柳旬社長、大阪市淀川区)は、5月末で閉鎖することを供給先の物流事業者に通告。スタンドを利用するエコトラック(門真市)の池田雅信社長は「イラン情勢の悪化に伴う燃料価格の高止まりが深刻化している。トラック業界でも、今こそエネルギーの分散へ取り組むべき時期。なぜこのタイミングなのか……」と憤りを見せる。(特別取材班)
LNGスタンドは利用者が少なく赤字が続いていたものの、国内で唯一のスタンドだけに、困惑が広がっている。エネフリは「5月末に閉鎖するという方向性は決まっているが、利用者の事情も理解している。急すぎるという意見も頂いており、社内で協議して真しに対応を進めたい」としている。
3月末時点で、国内でLNGトラックを商用利用するのはエコトラックとセンコーグループホールディングス。両社とも3月下旬にスタンド閉鎖の通告を受けたという。
エコトラックは通告後の4月2日、エネフリへ継続の要望書を提出。併せて、スタンド継続に向けて関係各社へ協力を要請している。センコーグループHDでも「現行の運行は、代替車両の手配を含めて対応を検討している。通告後には、営業延長をエネフリに要望した」という。
エコトラックは環境配慮車両のみを保有し、2022年から、排出権取引(クレジット)をひも付けした「カーボンニュートラルLNG」車両を2台運行してきた。天然ガスの採掘から燃焼に至るまでの温室効果ガスを相殺する試みで、池田社長の肝いりの事業だった。LNGスタンドが閉鎖されれば、運行が不可能となる。
池田氏は「将来的な事業構築に向けて取り組んできたが、難しくなってしまった。エネフリにとっても難しい判断だったことは理解できる。せめて、半年ほどの猶予をもらえれば良かったのだが」と胸の内を明かす。
LNGトラックは、二酸化炭素(CO2)の排出量が軽油より10%少ないとされる。一度の充てんで約1千㌔メートル運行可能で、長距離運行と環境負荷低減を両立する燃料として期待されている。三菱商事とエア・ウォーターは国内でのLNGトラックの普及に向け、大型トラック1台分のスペースに置ける移動式の充てん設備を開発。運送事業者がLNGトラックを運行させる実証実験を北海道で2026年3月まで行っていた。
政府は、環境配慮やカーボンニュートラル(CN、温暖化ガス排出量実質ゼロ)の観点から、電気自動車(EV)や燃料電池車(FCV)の普及に取り組んでいるものの、LNG車両の優先順位は低い。環境省の環境配慮型先進トラック・バス導入の補助事業はLNG車も対象だが、充てん設備の充実といったインフラ側からの支援に関しては、経済産業、国土交通の両省も含め政府の姿勢は消極的と言わざるを得ない。
また、車両のコスト面も無視できない。国内で唯一、商用のLNGトラックを生産するいすゞ自動車では、東京地区での「ギガLNG」の希望小売価格を同社製CNG(圧縮天然ガス)車より700万円高く設定。さらなる普及に向けて「ディーゼル車同等に近付けるコスト低減とともに、幹線などで運用できるインフラ環境が必要」と課題を示した。
なお、ギガLNGの販売台数は20台で、販売・アフターサービス体制は引き続き維持していく方針。LNG車を巡る今後の在り方については、様々な可能性を検討しているという。
一方、いすゞ自動車は「(スタンド閉鎖は)残念に思う。これまで、環境負荷の低減やエネルギーセキュリティーの観点から、天然ガス自動車の普及に取り組んできた。優れた環境性能と、ディーゼル車と同等の使い勝手を持つ『ギガLNG』は、CN社会の実現に向けた重要な選択肢の一つと考えている」としている。エコトラックの池田氏と同様に、エネルギーのリスク分散の観点から懸念を示す。
また、資源エネルギー庁の細川成己・長官官房危機管理・事故対応即応対策統括調整官は4月28日に行われた専門メディアのグループインタビューで「LNG(自動車)はこれまで、脱炭素化の観点で進めてきたが、電気や水素がある中、トラディショナル(旧来的)なエネルギーとして位置付けられるようになった」として、対策の優先度が下がってきていたことに言及した。ただ、「今回、地政学リスクという新たな視点が出てきたので、これまでにない視点を踏まえて検討していきたい」と回答。方針転換の可能性を示唆した。
イラン情勢の悪化により、多くの運送事業者が燃料の高止まりの影響を受けている。さまざまな課題を抱えているものの、LNGトラックの商用利用への取り組みは欠かせない。事業継続に向け、官民の垣根を越えたより一層の協力が必須となるだろう。

物流拠点間や物流拠点から小売店までの「ミドルマイル」物流(支線配送)の共同化・効率化に向けた荷主連合がキックオフ――。花王と三菱食品(伊藤和男社長兼CEO=最高経営責任者、東京都文京区)を幹事企業とし、業種を横断した9社が参加する共同配送コンソーシアム「CODE」の初会合が7日、東京都で開催された。各社の配送データを活用したデータドリブン(データ主導)での配送効率化に向け、参加企業による「コースマッチング」を開始し、その成果を12月の次回会合で報告することなどを確認した。(田中信也)
物流効率化法(新物効法)の本格施行などにより、荷主による物流課題への対応の重要性が高まっている。CODEは、幹線輸送よりも課題解決が困難とされる地域圏内の物流拠点間や、物流拠点から小売店などの納品を担う支線配送を行う「中間荷主」による業種横断での物流効率化を目的に発足。花王、三菱食品の呼びかけに応え、旭食品(竹内孝久社長、高知県南国市)、あらた、トーハン(川上浩明社長、東京都新宿区)、日本出版販売(富樫建社長、千代田区)、PALTAC、三井物産流通グループ(柴田幸介社長、港区)、メディセオ(今川国明社長、中央区)が参加する。
CLO(物流統括管理者)や物流本部長クラスで構成する代表者会議を半年に1回開催し、運営方針の議論、成果・進ちょくの共有を行う。その下に実務定例会議を設置し、物流担当の部長・課長クラスが月に1回集まり、情報共有や実務レベルでの確認などをする。
活動のキックオフとなる代表者会議の初会合では、幹事企業を代表し、花王の森信介・執行役員ロジスティクス部門統括CLOが「2026年は新物効法(の本格施行)でさまざまなことが変わる『変革の元年』。物流課題は一企業・業界で解決できない段階に入っており、9社の強固なパートナーシップとデータドリブンへの探求心でブレイクスルーを起こそう」、三菱食品の田村幸士・取締役常務執行役員SCM統括兼CLOは「荷主企業が能動的にならないと物流の苦境は乗り越えられない。異業種・異業態の複数の荷主連合は過去に例がないが、この難しい挑戦に挑んでいきたい」と、それぞれあいさつした。
その後、事務局(花王、三菱食品)が、CODE発足の経緯と運営体制、目指す姿と活動概要、共同配送成立までの全体フローなどを説明。データドリブンな共同配送のスキームの構築を目指し、まず第1段階として、参加企業同士が共配できる可能性の高いコースの組み合わせを可視化するコースマッチングを実現。混載に向けた荷物のマッチングは第2段階に位置付ける。
共配の成立に向けては、各社の配送データを突き合わせ、相性の良いコースを効率良く発見できる仕組みを構築。なお、当面は、絞り込みやマッチングなどの作業を幹事企業が担うことを想定している。
また、スキームの早期構築に向け①拠点情報の提供②サンプルデータの提供③データプラットフォームの準備④データプラットフォームへのデータ格納――を各社に依頼した。
これを受け、参加7社の代表者が自社・業界の物流課題やCODEでの活動、共配実現に向けた意気込みを表明。さらに、オブザーバーとして参加した経済産業省の平林孝之商務・サービスグループ流通政策課長兼物流企画室長、農林水産省の原田達大臣官房新事業・食品産業部食品流通課長、国土交通省の髙田龍物流・自動車局物流政策課長が期待の思いなどを述べた。

堀幸運輸(堀口司社長、岩手県二戸市)は、20年にわたり小中学校のスクールバス運営を継続し、地域社会への貢献に尽力している。物流業界全体で深刻なドライバー不足が課題となる中、同社は「スクールバス優先」の運行体制を堅持し、地域の子どもの安全な通学路を守り続けている。(鈴木明香理)
二戸市からの業務委託として請け負う同事業は、市から車両の貸与を受け、同社がドライバーを提供する形態を取る。現在、小中学校はともに学区内に1校ずつで、児童数が減少傾向にあるものの、学区は広く、最も遠い地区では学校まで10㌔以上の距離がある。徒歩通学が困難な児童・生徒にとって、バスは不可欠な「足」となっている。
同社は地元他社と分担し、全9台のうち3台の運行を担当。地区ごとに最適な送迎ルートを構築している。朝の登校時は一斉に3人のドライバーを投入し、帰宅時は学年ごとに下校時間に合わせ、一人が複数回往復して対応する。児童数が限られている利点を生かし、大型車両が進入可能な場所であれば家の前まで送迎するなど、地域の実情に即した運用を徹底。過疎化が進む地域での安全・安心のネットワークとして機能している。
「スクールバス第一」の姿勢は社内に浸透している。本業の運送事業で、早朝発の現場や遠方案件と重なった場合でも、スクールバスの運行を最優先しなければならない。時には現場へ「到着が遅れる」と連絡を入れたり、依頼を断ったりするなどの影響も伴うが、万が一ドライバーが不足する事態には堀口社長がハンドルを握る。「地域の子どもを守ることは、先代から続く大事な仕事」という信念が原動力となっている。
経営的な側面で見れば、ダンプ輸送などの本業を優先したほうが収益性は高まるが、堀口氏は「主体的に取り組んでいる」と語る。特に、冬季の降雪時は早朝から路面状況を確認し、安全・確実に子どもを学校へ送り届ける重責は、地域の実情を熟知した運送事業者だからこそ果たせる役割だ。
地域へのこうした長年の関わりは、送迎以上の価値を生んでいる。かつて送迎していた子どもたちが成人し、仕事先の現場で「あの頃はお世話になりました」と声をかけられることもあり、大きな喜びになっているという。
ドライバーの確保が困難な時代にあっても、今後も継続していく方針。一企業の利益追求にとどまらず、地域インフラの一部として子どもたちの安全・安心を預かる活動は、地域社会を支える運送事業者の在り方を示している。

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