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【2024年問題⑤】メーカー主導で広がる/アライアンス

2024年問題

2022/06/28 3:10

 ドライバー不足を解消する鍵を握るのが、平均約4割とも言われる営業用トラックの積載率の向上だ。近年、メーカー系を中心に、競合する企業同士が物流分野を協業領域として捉え、共同配送するケースが増加。また、荷姿の異なる業種間でも工夫を凝らしながら共配を模索する動きも出始めている。中小運送事業者間でも本格的な連携が進めば、全体の積載率の底上げにつながる。新たな拠点の整備などに向けた資金面で、国などの支援があれば連携を後押ししそうだ。(高橋朋宏)

中小運送会社も推進を

 共配の先駆けとも言えるのがビール業界。最初はアサヒビール(塩沢賢一社長、東京都墨田区)とキリンビール(堀口英樹社長、中野区)で、「競争と協調の視点から既存の枠組みを超えた協力体制を構築する」として2011年8月に都内で開始した。
 17年にはサッポロビール(野瀬裕之社長、渋谷区)とサントリービール(西田英一郎社長、港区)を加え、初の大手4社による共配(北海道東エリアの一部)を実現させている。
 食品業界では、味の素など食品メーカー5社が19年4月に「競争は商品で物流は共同で」を理念に掲げ、物流会社F-LINE(本山浩社長、中央区)を設立。共配にとどまらず、物流従事者の労働環境改善や生産向上のため、現場課題の解決にも積極的に取り組んでいる。
 日野自動車は18年6月、「モノが運べなくなるという社会課題解決に向けて取り組む」として、ネクストロジスティクスジャパン(NLJ、梅村幸生社長、新宿区)を設立。
 多様な業種・業態のパートナー(出資者、6月22日時点で20社)の荷物を25㍍のダブル連結トラックで混載運行する実証実験を行っている。積載率の平均は62.4%と高い水準。扱った品目は370で、混載を本格的に開始したこの2年半の間に組み合わせた荷物は7416パターンに上る。

異なる荷姿でも実現

 異なる荷姿の製品を共配する事例も出てきた。サッポログループと日清食品グループが22年3月にビール樽(だる)と即席めんなどを組み合わせた共配を静岡―大阪で始めた。
 荷台上部空間が空きやすい重量貨物と軽量貨物を往復路とも混載するラウンド輸送スキームを確立。重量面と容積面双方の積載効率でほぼ100%を実現し、トラック使用台数を減らした。
 様々な業種・業態による物流分野での協業は、まだ実証実験の段階だったり、全体の荷量のごく一部にとどまるなど「緒に就いた」ばかり。ドライバー不足の認識が社会全体で一層広がり、また、物流のDX(デジタルトランスフォーメーション)によりデータや情報の共有・活用が図られれば、連携に向けた議論が盛り上がりそうだ。
 メーカー系での共配の広がりについて、NLJの梅村社長は「ここ数年、特にメーカー系がカーボンニュートラルを本気で意識し始めた。ダブル連結トラックは二酸化炭素(CO2)排出量の削減に大きく貢献するため、社会のカーボンニュートラルへの意識の高まりが、荷主の共配に関心を寄せる一因となっているように感じる」と指摘する。
 資金力があり大企業の多いメーカー(物流子会社)主導の物流分野での協業が進む一方、物流業界全体の積載率の底上げには、第一線で実運送を担う中小事業者間の連携(共配)も欠かせない。ただ、連携に向けては新たな施設の整備など投資が必要な場合もあり、資金が乏しい中小事業者には支援が必要となる。
 国の支援制度には、2社以上が連携して輸送、保管、荷さばき、流通加工を一体的に行い、業務の効率化、環境負荷低減などを図る事業を国が認定し、金融支援や税制特例などを適用する物流総合効率化法(物効法)などがある。
 ただ、人員が限られる中小事業者にとって、必要書類の作成や各種数値の把握など申請へのハードルは高い。中小事業者や協同組合に限り、申請方法の簡素化や要件緩和などが認められれば、活用は更に広がる。
 物効法とは別の枠組みで、連携に必要な施設の整備を支援する制度が創設されれば、連携の促進、積載率向上の一助となるかも知れない。

全く異なる荷姿の組み合わせで積載率100%を実現




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