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政治・行政

【交付金継続の軌跡㊤】暫定税率廃止と二兎追う 全ト協、粘り強いロビー活動

暫定税率廃止と運輸事業振興助成交付金の継続の両方を勝ち取る――。軽油引取税の旧暫定税率廃止で、トラック運送・バス事業への交付金制度の根拠が消滅する二律背反の局面を打開するため、全日本トラック協会で最高顧問を務める坂本克己は「二兎を追う」戦いに、「松崎チーム」と称する全ト協専務の松崎宏則らとともに臨んだ。各方面への粘り強いロビー活動を展開し、政治勘を発揮。衆院解散など予想外の事態も乗り越え、制度を継続へと導いた。(田中信也)
暫定の名の下に、半世紀以上にわたり継続されてきたガソリン税(揮発油税)と軽油引取税の暫定税率の廃止は当初、国民民主党など野党が主張してきた。しかし、衆参両院で自民、公明の与党が過半数を割ったことで、廃止への動きが風雲急を告げる。2024年の衆院選、25年の参院選での「敗北」の責任をとり、石破茂は首相(当時)の退任を表明。自民総裁選が9月23日に公示され、5人の候補者が立候補した。
24日、全国・ハイヤータクシー連合会の最高顧問も務める坂本の要請に基づき、全ト協、日本バス協会、全タク連による共同請願が急きょ実現。小林鷹之、茂木敏充、林芳正、高市早苗、小泉進次郎の各候補者の陣営の国会議員と面談した。
これに当たり、坂本は「日本の血液とも言える公共輸送を担う私たちの甘露(かんろ)を打ち消すようなことはないとの確認と所見を頂きたい」とクギを刺し、ガソリン税だけでなく、軽油引取税の暫定税率を廃止するかについての回答を各陣営に求めた。
坂本、松崎とともにロビー活動の中核を担った全ト協企画部担当部長の本間圭介は「25日に回答書面を回収するため、各陣営の議員事務所を訪問し、サインの記入まで求めた。あれが一番きつかった」と振り返る。
各陣営は軽油も含めた暫定税率の廃止を約束したが、全ト協は、告示日に発表した所見の段階で廃止を明言していた高市を総裁選で支持することを事実上決定した。高市は勝利後の会見で「軽油引取税(の廃止)については今回の総裁選で私しか申し上げていない」と強調。軽油と両方で(暫定税率廃止に)対応するためには、臨時国会で法案を提出する必要がある」と明言した。
高市は12月4日、全国のトラック協会の首脳が顔をそろえる全日本トラック事業政治連盟の懇親パーティーに現役の首相として初めて出席。「国民生活、経済を支える大切なライフラインである物流を担っている皆さんに心から敬意を表している。事業の適正化に向けた環境は整った」とエールを送った。
暫定税率の廃止に向けては、25年8月に自民、立憲民主、日本維新の会、国民民主党、公明、共産の各党の代表者会議で協議を重ねた。当初、軽油が廃止の対象に含まれるかは不透明だった。野党側は地方税である軽油引取税の暫定税率廃止は別途対応するという考えだったが、軽油の廃止を約束した高市の首相就任により、ガソリンと軽油の両方で廃止する方針が固まった。
協議が進む中、坂本らは暫定税率廃止後の交付金制度の維持を確約させるため、関係する与野党議員へのロビー活動を精力的に展開。財政官庁のトップである財務相の片山さつき、総務相の林とも面談し、交付金の必要性を訴えていた。
10月29日の実務者会議では与党側が合意事項案を提示。この時の文面(合意書の整理案)には、「軽油引取税に特有の実務上の課題への対応」が盛り込まれていたものの、「交付金」には直接触れていなかった。ところが、軽油引取税の来春廃止を打ち出した31日の同会議の合意文書では一転、「運輸事業振興助成交付金の取り扱いなどの軽油引取税に特有の実務上の課題に適切に対応」と「特出し」で記載された。
非公開の協議で、いかなる議論がされて交付金の取り扱いが追加されたのか。坂本らと実務者会議のメンバーとの面談は29日に集中したが、当時公明党の副代表を務めていた赤羽一嘉とは当初、30日に予定していた。しかし、坂本が急きょ「これから会えないか」と赤羽に連絡。面談は29日に繰り上がった。
税務調査会長の小野寺五典を筆頭とする自民党に対し、赤羽は会議に引き続き与党側で参加していたため、合意案への交付金の明示を主張した。松崎と本間は「特に赤羽さんの役割が大きかった」と話す。「1日後だったら今日の状況はなかったかもしれない」と松崎が述懐するように、坂本の「政治勘」によって、交付金継続に向けた大きな流れがつくられた。
6党の合意を受け、25年7月の通常国会に野党が共同提案したものの廃案となった法案を修正する形でガソリンの暫定税率廃止法案が臨時国会に提出された。同法案は6党の合意事項を踏襲するものだが、国土交通省の関係者は「国会の議事録に残すことで交付金継続の言質が取れる」とアドバイス。
これを受け、坂本と松崎チームは法案を審議する衆院の財務金融委員会、参院の財政金融委員会の所属議員との面談を重ね、交付金継続への理解を求めた。
これが奏功し、衆参合わせて8人の議員が交付金制度について質問した。片山ら政府側は制度の維持を前提に対応することを明言。これに加えて、参院では全党提案による付帯決議が提出され「制度維持に向け法改正を含め必要な措置を講じる」ことが盛り込まれた。
交付金継続の流れは動かしがたくなったものの、財務、総務の両省は26年度の1年間のみ維持する方針で固まりつつあった。こうした動きに対抗するため、坂本は、交付金継続を規定する交付金法改正案について、あらかじめ5年間の期限を設ける「サンセット条項」を盛り込むことを構想した。
ただ、国交省関係者は「5年間の継続は無理」とみていた。坂本は与党や国交省の関係者との協議の場で、交付金制度のカギを握る重要人物に直接電話をかけて直談判。これにより、交付額を減額することなく30年度まで制度を現状維持できることがほぼ固まった。
さらに、地方からの反発を抑えるため、全ト協副会長を務める新潟県トラック協会会長の小林和男が、全国知事会の国交・観光常任委員会委員長で新潟県知事の花角英世に調整を依頼。知事会としての了承を取り付けた。「これらのてん末はいずれ、本間との共著で本にしたい」と、松崎は冗談とも本気とも言えない表情で話している。
=敬称略

日本郵政は15日、グループの新中期経営計画「JPプラン2028」(2026~28年度)を発表した。国内の宅配便市場の頭打ちが見込まれる中、総合物流企業への転換を打ち出し、国内外の企業間物流の強化や、送達日数の改善、差し出し可能な時刻・場所の緩和といったサービスレベルの向上、他企業との連携強化、住所を7桁の英数字に変換できる「デジタルアドレス」の利用拡大などに取り組む。(田中信也)
国内の人口減少、デジタル化の急速な進展など10~15年後にはグループを取り巻く事業環境が激変することが予想され、郵便物数の減少は避けられない。このため、新中計では、10~15年後の環境変化を見据え、共創プラットフォームを「総合物流」「総合金融」「生活サポート」の機能に深化。各グループの横断的サービスの提供を通じて、グループの魅力・価値の創出を目指す。
重点戦略では、総合物流企業への転換として、主軸のラストワンマイル(宅配便事業)に加えて、国内外の企業間物流を強化。国際、国内の双方でコントラクトロジ(3PL=サードパーティー・ロジスティクスなど)事業、トラック配送、宅配の全てを一体で事業運営できる総合物流企業を目指すことで、あらゆる顧客の要望に応えられる利便性の高い物流サービスを提供する。
その手段の一つとして、トナミホールディングス(髙田和夫社長、富山県高岡市)とのM&A(合併・買収)、ロジスティードホールディングス(中谷康夫社長、東京都中央区)との資本業務提携などを活用。車両・拠点の相互利用、経営資源の集約や効率化を推進する。
ゆうパック・ゆうパケットの収益拡大に向けては、国内の宅配便市場全体が大きく伸びないと見込まれる中、差し出し・受け取りの利便性向上や、顧客価値向上に向けた柔軟な運賃体系の構築と顧客ニーズを軸とした物数戦略の両立により荷物収益を拡大。
具体的には①送達日数などのサービスレベル改善②郵便局での差し出し条件(時刻、場所など)の緩和③日本向け越境EC(電子商取引)に対応した商品開発④他企業との連携強化⑤郵便局アプリの改善、デジタルアドレスの利用拡大――などを掲げている。
また、郵便・物流事業の構造改革に向けては、持続可能な集配体制を構築するため、拠点の集約により業務を効率化。郵便物の取扱数の減少に合わせた人員縮小を前提としつつ、生産性向上による要員配置の最適化に戦略的に取り組む。
加えて、利用者ニーズやコストなどを踏まえて各種郵便サービスの料金の見直しを検討。郵便と荷物事業の特性に応じた経営管理の高度化のため、事業セグメントを見直す。
これらの取り組みにより、29年3月期の経営目標として連結純利益5千億~7千億円超、ROE(自己資本利益率)5~7%超を提示。郵便・物流事業の営業利益は1730億円の赤字~230億円の黒字の幅を持たせた。ゆうパック・ゆうパケットの取扱個数は13億1千個、売上高は7400億円(いずれも26年3月期から15%増)を見込んでいる。

日本最大のトラック関連総合展示会「ジャパントラックショー」が14~16日、パシフィコ横浜(横浜市西区)で開催された。トラックメーカーや架装、部品・用品、車載品、ソフトウエア関連などのさまざまなトラック・物流関連企業や団体が出展。170社598小間と過去最大規模となった。会場で初めて展示・公開となる商品も並んだ。(田中寛之)
開会式で、主催の国際物流総合研究所の南元一会長は「手探りで始めた初開催から10年がたった。今では会場いっぱいにブースが並び、多くの来場者に足を運んでいただけるイベントに成長した。ここで慢心せずに良いアイデアを出し続け、これからも多くの方に来てもらえるようなイベントをつくっていきたい」とあいさつした。
トラックメーカーは、大手4社が出そろった。いすゞ自動車はグループのUDトラックス(伊藤公一社長兼CEO=最高経営責任者、埼玉県上尾市)、ボルボトラックと共同で出展。いすゞは普通自動車免許で運転可能な小型トラック「エルフミオ」の冷凍車を初めて展示した。最大積載量は750~1100㌔。
UDトラックスは参考出品として、大型トラクタ「クオン」のトレーラとの自動連結装置をアジアで初めて公開した。連結時の手間を大きく削減したことで、女性や高齢ドライバーへの障壁の解消を狙う。ボルボトラックは大型車「ボルボFH」シリーズ26年モデルの特徴である、サイドミラーの代わりとなるカメラモニターシステムの視認性の高さを暗所で体験できる企画を用意した。
日野自動車は水素を燃料にしたFC(燃料電池)大型トラック「日野プロフィアZ FCV」を、矢野特殊自動車(矢野彰一社長、福岡県新宮町)グループのアルナ矢野特車(同、滋賀県米原市)が冷凍車にした車両を展示。FCVは駆動に電力を消費するため、走行中に冷凍機へ電力供給できないという制約がある。このため、外部電源で停車中に庫内を冷却する仕組みを採用。冷凍ボディーの保冷性を高めて対応している。
三菱ふそうトラック・バス(フランツィスカ・クスマノ社長兼CEO、川崎市中原区)は、アメリカのスポーツブランド「ニューエラ」とコラボレーションしたキャンターを展示するなど個性を表現した。両社は日野自動車と三菱ふそうとの統合会社、アーチオン(カール・デッペン社長兼CEO、東京都品川区)として初めての出展となり、互いのキャラクターを押し出した。
トラックメーカー以外も来場者から多くの注目を集めた。DOSHIN(安田猛社長、大阪府八尾市)は、使用過程車の大型ディーゼルトラックをBEV(バッテリー式電気自動車)化する「レトロフィット大型EVトラック」を初公開。航続距離は300㌔で、既存の車両を活用することで導入コストを大幅に削減できる。
また、ヨロズ物流(新谷剛社長、大阪府富田林市)は、中国のタイヤメーカーZCラバーのトラック用タイヤ「CHAOYANG(チャオヤン)」を紹介。多数のタイヤを展示し、国産タイヤより安価でありつつ、品質も高い点をアピールした。
京都機械工具は、ホイールのボルトやナットのトルクを最適に管理し、緩みや締め過ぎによる車輪脱落などのトラブル防止につながるシステム「e-整備TIRE」を紹介。エムケー精工は自動車整備機器の最新主力製品を展示した。
会期中は、講演会やパネルディスカッションが数多く実施された。物流会社の人的資源管理をテーマに、14日にアサヒロジスティクス井上健採用育成部長、花王ロジスティクスの御田博隆取締役、ギオンの須藤亮平執行役員が、15日には「2024年問題を越えろ! 物流の女社長が語る突破力」をテーマに、今井運送の今井麻衣子社長、松下運輸の坂田生子社長、誠輪物流の野坊戸薫社長、ハンナの下村由加里社長が、それぞれパネルディスカッションを行った。

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