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政治・行政

政府決定「国土強靭化年次計画」、供給網強化や港湾防護

政府は3日、「国土強靭(きょうじん)化年次計画2026」を決定した。国土強靭化基本計画に基づき、2026年度に取り組むべき具体的な施策を提示するもので、円滑な支援物資物流の実現や、サプライチェーン(供給網)を途絶させないための道路橋りょう、港湾、空港などのインフラ強化、気候変動に対応するための官民の港湾関係者による「協働防護」の取り組みなどを列挙している。(田中信也)
被災地での物資・エネルギー供給の停止に対しては、道路と航路の啓開や民間輸送事業者を含む体制を整備。被災地外からの物資の調達・輸送に向け「新物資システム(B-PLo)」の活用訓練と実践活用を踏まえたシステムの高度化、物資の分散備蓄を図る。
避難所へ物資を滞りなく届けるために、ラストマイルも含めた円滑な支援物資物流の実現に向けた取り組みを推進。民間企業による救援・支援物資の提供を円滑に行うため、災害時も通信・ネットワーク機能の遮断を防止する対策を進めていく。
食料などの安定供給の停滞に伴う、経済活動への甚大な影響に対しては、川上から川下までサプライチェーンを一貫して途絶させないため、道路橋りょうの耐震化や、港湾・空港などの物流インフラの耐震化、輸送モード相互の連携を推進。平時での産業競争力強化の観点も兼ね備えた物流インフラ網も構築する。災害発生時にも物流機能やサプライチェーンを維持するため、物流事業者によるBCP(事業継続計画)策定の推進や、平時からの関係者間での連絡体制構築などを進める。併せて、営業用倉庫など物流施設に対する、非常用電源設備の導入支援をはじめとする災害対応能力の強化、ラストマイルも含めた円滑な支援物資物流の実現に向けた取り組みなどを推進する。
また、太平洋ベルト地帯の新幹線や高速道路が全て止まった際に人流・物流をどのように維持・体制確保し、いかに代替性(ルート・交通手段など)を担保するかについて計画的に事前に検討する、としている。
気候変動に伴い激甚化・頻発化する風水害、切迫する大規模地震の発生に対応するため、港湾施設の耐震・耐波性能の強化や、官民関係者が気候変動への適応水準・時期に関する共通目標を規定。その上で、協定などに基づき、ハード、ソフト一体で各種施策を進める協働防護の考え方に基づき、総合的な対策を講じるなど港湾施設の機能強化を図る。
さらに、災害対応のための人流・物流ネットワークである「命のみなとネットワーク」の形成や、効果的な事前対策、災害発生時の民間企業の活動を円滑に継続できるようにするため、港湾防災情報の高度化を進めていく。
海上輸送機能の停止による貿易への甚大な影響の回避に向けては、協働防護に基づく港湾施設の機能を強化。このほか、港湾BCPの実効性を確保するため、関係機関との協働によるBCP訓練へ継続的に取り組み、PDCA(計画―実行―評価―改善)サイクルを通じたさらなる見直しと改善を図る。
空港についても、緊急物資・人員輸送の拠点として機能できるよう耐水害性を強化する。

自民党の物流調査会(井林辰憲会長)、ITS推進・道路調査会(古川禎久会長)など4調査会の幹部は3日、金子恭之国土交通相に対して関係政策の推進に関する提言書を手渡し、意見を交わした。同会は、総合物流施策大綱の初年度にふさわしい、これまでにない大規模な予算を確保するよう強く求めている。(田中信也)
総合物流施策大綱の実現加速に向け、2030年度までの集中改革期間に、大綱に盛り込まれた各種施策を政府の骨太の方針にしっかりと位置付け、政府一丸となって産業競争力、国力の強化を図るよう提言。
物流効率化に向けては①自動運転トラックの社会実装をはじめとする自動化、省人化②陸、海、空の新モーダルシフトの推進に向けた貨物鉄道の機能強化を通じた輸送力の拡大③公共ライドシェアを活用した貨客混載などによるラストマイル配送の共同化④「下関北九州道路」「津軽海峡トンネルプロジェクト」といった新たな大規模プロジェクトへの取り組み――などを求めた。
また、商慣行の見直しや荷主・消費者の行動変容、産業構造の転換に向けた対応を要望。全面施行された「新物流2法」が規定する荷主・物流事業者への規制的措置の徹底、トラック・物流Gメンの取り組み強化、トラック適正化2法に基づく事業許可更新制と適正原価制度の制度設計による多重取引構造の是正や賃上げ・価格転嫁の環境醸成などを求めた。このほか、独占禁止法上の物流特殊指定の改正に当たり実効性のある制度設計などを盛り込んだ。
さらに、改正物流効率化法に基づく倉庫整備などによる日帰り運行可能な中継輸送や、物流標準化・物流DX(デジタルトランスフォーメーション)・GX(グリーントランスフォーメーション)の推進、成田空港のさらなる機能強化と首都圏空港の一体的運用を通じた物流の国際競争力の強化を要請した。
道路調査会の提言では、高規格道路の未整備区間の解消やダブルネットワークの強化など災害に強い道路の整備、生産性の向上につながる道路ネットワークの整備・機能強化を要望。これらに加えて、自動運転の社会実装に向けた取り組みを強力に推進し、物流事業者の担い手不足や労働環境改善に対応するための休憩施設の充実と自動物流道路の構築に向けた検討を進めるだけでなく、次世代自動車の走行環境整備・再生可能エネルギーの活用といった道路分野の脱炭素化に取り組むことなどを求めた。
海運・造船対策特別委員会(阿達雅志委員長)は、海運へのモーダルシフトの強力な促進や、海運事業者への価格転嫁の徹底、30年ごろまでの自動運航船の本格的な商用運航実現などを要望した。
物流調査会の井林会長は、金子氏との意見交換後に応じた記者のぶら下がり取材に対し「大綱に基づく施策の着実な推進とともに、ビッグプロジェクトも実現してほしいと要請した。大臣も思いは同じだと感じた」と述べた。

JR九州は2日、くら寿司、JR西日本、ジェイアール西日本マルニックス(岡田学社長、大阪市淀川区)、JR九州商事(山下信二社長、福岡市博多区)と連携し、新幹線即日輸送サービスを活用した鹿児島県産鮮魚の定期輸送を開始した、と発表した。大阪市のくら寿司に向けたもので、新幹線輸送で鹿児島県産鮮魚を全国チェーンの回転寿司で定期販売するのは初めて。
輸送は、JR九州グループの「はやっ! 便」とJR西日本グループの「荷もっシュッ!」を活用する。朝締め・加工した鹿児島県産鮮魚を鹿児島中央駅から積み込み、新大阪駅で降ろし、大阪市の5店舗で当日夕方から提供する。販売は毎週木曜と土曜日を予定しており、交通状況や天候、漁獲状況によっては販売できない場合や提供が遅れるケースもある。
一皿250円(税込み)。イシダイやハマフエダイ、アオリイカ、薩摩カンパチなどを取り扱い、魚種は季節に応じて変更する。
取り組みは、新幹線を活用した新たな物流サービスと、くら寿司が築いてきた日本各地の漁業者とのネットワークを生かし、地魚を都市部でも提供するとともに、日本の漁業創生にもつなげることを目指している。(園川萌子)

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