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物流DX・標準化①、「新時代」見据え活発化

団体

産業

2024/05/14 4:00

 総務省の人口推計によると、2050年に国内の生産年齢人口は5275万人まで減少すると見込まれ、様々な社会的・経済的課題の深刻化が懸念されている。少子高齢化が加速する中、効率化に向けたパレチゼーションの推進、生産性向上に寄与するDX(デジタルトランスフォーメーション)の導入など、困難を乗り越えた先にある「物流新時代」を見据えた動きが活発化している。(原田洋一、沢田顕嗣)

積載率向上・作業負担軽減

 物流効率化に向けたパレットシステムの導入と標準化の動きが着実に進む。国土交通省は24年3月、官民物流標準化懇談会のパレット標準化推進分科会(味水佑毅座長、流通経済大学教授)での検討を踏まえ、レンタルパレット事業者間の共同プラットフォームの構築を目指す方向性を提示。輸送頻度の削減、積載効率の向上、作業負担の軽減など、最適な物流環境を実現するための模索が続く。
 事業者側も活発な動きを見せる。日本パレットレンタル(JPR、二村篤志社長、東京都千代田区)は、これからの物流業界のキーコンセプトに「標準化」「共同化」を掲げ、11型(1100㍉×1100㍉)のレンタルパレットによる一貫パレチゼーションを促進している。
 既存顧客(加工食品、日用雑貨、農産品の各業界)に関しては30年度までにパレット輸送を隅々まで行き渡らせるとともに、即席麺、菓子、冷凍食品の各業界にもレンタルパレットを普及させたい考え。パレットの共同回収拠点は現在の2600カ所を4100カ所まで増やしていく構想だ。
 IT(情報技術)開発が隆盛を極める中、省力化の鍵を握るのがDX。帳票類や管理表といった事務作業で扱う用紙の電子化、荷待ち時間の削減につながるバース予約システムなど、ソリューションの対象は幅広い。
 全日本トラック協会の運輸事業振興助成交付金制度のあり方を検討するプロジェクトチームは4月9日、対応が困難な中小零細事業者向けに、IT機器などの導入、労務管理情報のデジタル化を後押しする方針を取りまとめた。
 受注から請求までの工程をオンライン処理して経営を「見える化」する運送管理システム「ロジックス」を提供するアセンド(東京都新宿区)の日下瑞樹社長は「トラックなどのリソースをいかに効率的に稼働させるかが経営上重要になる。DXによって煩雑な業務を減らし、担当者は配車に集中できる」と強調する。
 22年に同システムを導入したのは荻布倉庫(荻布原駆郎社長、富山県高岡市)だ。労働人口の減少を踏まえ、グループ内会計システムの連動、基幹サーバーのクラウド化など、業務のDXに取り組んできた。
 荻布社長は「導入前までの構造では、経営判断に必要な売上高や在庫量などの月次データが出てくるのに時間がかかり、スピードが遅かった。100%の精度でなくても構わないので、入出金の動き、従業員や車両の動態、倉庫データなどを即座に割り出せるようにしたい」と狙いを話す。

都市と地方で時差

 ベンダー(供給者)とユーザーの双方が積極性を見せる一方、課題もある。開発メーカーやシンクタンク、業界団体が都市部に集中している点だ。インターネットの発達で情報格差が縮まったとはいえ、地方の中小零細事業者が最新のトレンドに触れるまで時差が生じてしまう。機能説明を行う営業やメンテナンスを担当する人員の移動にも時間がかかるため、遠距離の事業者が気軽に導入できる状況には至っていない。
 既存の物流ネットワーク同士を接続し、組み換えが容易な構成単位にモジュール化したコンテナ貨物を最適なルートで運ぶフィジカルインターネットにも注目が集まる。本格的な人口減少を迎える中、持続可能な物流を実現するための努力が続いている。

ドライバーごとの売り上げや粗利を明示(アセンドのロジックスのデモ画面)

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