物流ニッポン – 全国の物流情報が集まるポータルサイト

エクサウィザーズ、ヤマト運輸の業務量予測を高精度・高速化

プレスリリース

2021/11/18 14:07

物流企業のMLOps環境を構築 機械学習パイプラインを自動化

〜ヤマト運輸の業務量予測を行う機械学習モデルの運用が高速化し、継続的な機能開発と機械学習モデルの精度改善が可能に〜

株式会社エクサウィザーズ

2021年11月17日 11時00分

 AIを利活用したサービスによる社会課題解決に取り組む株式会社エクサウィザーズ(東京都港区、代表取締役社長:石山 洸、以下エクサウィザーズ)は、ヤマト運輸株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:長尾裕、以下ヤマト運輸)向けにMLOps(※1)を実現する環境を構築し、機械学習モデルの「データ抽出→前処理→学習→予測→評価」などの作成プロセス(以降、機械学習パイプラインと記載)を自動化しました。これにより、ヤマト運輸は月次の機械学習モデルの運用が高速化し、継続的な改善が可能になりました。MLOpsはECベンチャーなどテクノロジー企業での導入事例はあるものの、大企業での導入としては先進的なケースとなります。エクサウィザーズは今回の成果を基に大企業への運用まで含めた機械学習導入支援を手掛けていきます。

☑︎MLOps環境構築の背景と機械学習パイプライン自動化の効果
 ヤマト運輸は約6,500店ある宅急便センターの数ヶ月先の業務量を予測するため、機械学習モデルを毎月作成し、需要に応じた効率的な経営資源の最適配置とコスト適正化を推進しています。毎月運用する機械学習モデルは複数あり、作業は多岐に渡ります。月次トランザクションデータ/マスタのファイルの準備、設定ファイルの書き換え、プログラムの手動実行などが対象です。スピード感をもってPoCに取り組んだ結果、作業負荷が高い状態が続いていました。また、事業部への予測結果報告までの運用スケジュールが短期的なため、機械学習モデルの再作成や予測の再分析が難しい課題も抱えていました。

 エクサウィザーズは上記の課題を解決するため、MLOpsの運用環境を構築し、月次で手動実行していた「データ抽出→前処理→学習→予測→評価」など一連のプロセス(機械学習パイプライン)を自動化しました。

 その結果、月次の機械学習モデルの運用が高速化し、余裕を持ったスケジュールでの運用が可能になり、運用工数が大幅に削減しました。加えて、機械学習パイプラインの中で動くプログラムのテストも自動化でき、効率的な運用→開発の月次サイクルが出来ました。このサイクルにより、機械学習モデルの運用が安定すると同時に、プログラムの継続的な機能開発及び機械学習モデルの精度改善が可能になりました。

☑︎機械学習パイプライン自動実行の前提となるソースコードの運用見直し
 ヤマト運輸は機械学習モデルのソースコードのバージョン管理を行っています。しかし、バージョン管理ツールへの登録タイミングや手順が属人化していることにより、どのソースコードが最新のものか分かりづらい課題がありました。特に複数の開発案件が並走すると、ソースコードの管理が煩雑になり、翌月の運用で使用するソースコードの準備に時間と労力がかかる状態でした。

 この課題を解消するため、エクサウィザーズはGit flow(※2)を参考にソースコードのバージョン管理方法を見直し、属人化していたバージョン管理の運用方法を標準化しました。また、同社はバージョン管理ツールをGitHubに一本化することにより、複数のベンダーが同じソースコードに対して同時に開発できる、開発・運用環境を整えました。

 この取り組みの結果、ソースコードの役割をマスタ(main)、本番運用(release)、開発及び単体テスト(feature)、結合テスト(develop)に整理でき、ソースコードの運用プロセスを刷新できました。新しい運用プロセスは本番環境の月次運用プロセス①、検証環境の機能開発+テストのプロセス②、翌月の運用に向けて本番環境のソースコードを最新化するプロセス③の3つで構成されます。このプロセス見直しにより、ソースコードの運用が安定しました。

☑︎ ヤマト運輸のDXへの取り組み
 ヤマト運輸は、2020年1月に掲げた「YAMATO NEXT100」、2021年1月に掲げた中期経営計画「Oneヤマト2023」において、データ・ドリブン経営への転換を通じて、データ分析による業務量予測に基づいた経営資源の最適配置と、コスト適正化を推進しています。それらの精緻化によりセールスドライバーなど第一線の社員の生産性向上を実現し、お客様との接点の拡大などによる事業成長を目指しています。

 エクサウィザーズはMLOpsを通じて、同社の将来的な社員一人当たり営業収益率の向上を支援します。今後も、運用まで含めた機械学習の導入支援を通じて、各産業における本質的な経営課題の解決・顧客価値の最大化を支援しながら、AIの社会実装を推進します。

ヤマト運輸株式会社 執行役員 中林紀彦氏 コメント
MLOpsの導入に成功したことで、機械学習モデルの運用が安定すると同時に、継続的なモデル開発および精度改善が可能になりました。このMLOpsのプラットフォームと様々なデジタルサービスを組み合わせて機械学習の価値をビジネスに活かしていきたいと思います。

※1 MLOpsはMachine Learning Operations(機械学習オペレーション)の略。顧客の動作環境下にある機械学習モデルの継続運用を標準化・効率化することを目的とした、モデルの開発・実装から運用までのサイクル

※2 Git flowはGitの機能であるブランチ(ソースコードを管理する単位)を活用したGitの開発手法で、複数人で開発する場合のソースコードの管理手法

【株式会社エクサウィザーズについて】
「AIを用いた社会課題解決を通じて、幸せな社会を実現する」というミッションのもと、企業の各部門や全社課題の解決にAIを利活用して取り組みながら、個社の課題から見つけた業界課題や社会全体の課題を解決するために、介護・医療・HR・ロボット・金融・カメラなどさまざまな領域でAIプロダクトの開発と実用化に取り組む。メンバーにはAIエンジニアをはじめ、ソフトウェアやハードウェアのエンジニア、戦略コンサルタント、UI/UXデザイナー、介護などのドメイン専門家、研究者、政策の専門家など分野横断的な人材が在籍。超高齢社会を迎えている日本において、各領域の現場ニーズと課題を徹底的に理解しながら事業を展開する。
ウェブサイト:https://exawizards.com/

プレスリリースへのお問い合わせは発表元に直接お願いいたします。





本紙ピックアップ

あらた、物流機能を維持・強化

 化粧品・日用品・家庭用品・ペット用品などの卸売業を展開しているあらたは、成長戦略に不可欠なファクターである物流機能の維持・強化を図る。生産性向上や省人化・省力化の取り組みにギアを入れるとともに、新たな物流センターを開設…

中企庁、中小むけ支援策強化

 中小企業庁は9日、過去最大となった2025年度の最低賃金引き上げに対応する中小企業・小規模事業者を後押しするため、新たな対応策も含めた支援策を公表した。従来の取り組みに加え、IT導入補助金、省力化投資補助金(一般型)な…

双葉運輸、鳥取・米子に第2センター

 双葉運輸(長谷川忠宏社長、広島市西区)は米子第2物流センター(鳥取県米子市)を新設し、9月上旬から段階的に稼働を始めた。同社の物流拠点として最大規模で、山陰地方では2カ所目となる。地域のニーズを捉えながら、荷主の物流効…

大和ハウス、地域に新しい価値提供

 大和ハウス工業は、「物流とウェルネス」の融合を掲げた物流施設など、地域に合わせた開発を進める。2025年7月竣工のDPL千葉四街道Ⅱ(千葉県四街道市)は、施設には従業員が利用できるバスケットコートを、外周にはランニング…

オススメ記事

あらた、物流機能を維持・強化

 化粧品・日用品・家庭用品・ペット用品などの卸売業を展開しているあらたは、成長戦略に不可欠なファクターである物流機能の維持・強化を図る。生産性向上や省人化・省力化の取り組みにギアを入れるとともに、新たな物流センターを開設…

中企庁、中小むけ支援策強化

 中小企業庁は9日、過去最大となった2025年度の最低賃金引き上げに対応する中小企業・小規模事業者を後押しするため、新たな対応策も含めた支援策を公表した。従来の取り組みに加え、IT導入補助金、省力化投資補助金(一般型)な…

双葉運輸、鳥取・米子に第2センター

 双葉運輸(長谷川忠宏社長、広島市西区)は米子第2物流センター(鳥取県米子市)を新設し、9月上旬から段階的に稼働を始めた。同社の物流拠点として最大規模で、山陰地方では2カ所目となる。地域のニーズを捉えながら、荷主の物流効…

大和ハウス、地域に新しい価値提供

 大和ハウス工業は、「物流とウェルネス」の融合を掲げた物流施設など、地域に合わせた開発を進める。2025年7月竣工のDPL千葉四街道Ⅱ(千葉県四街道市)は、施設には従業員が利用できるバスケットコートを、外周にはランニング…

Share via
Copy link
Powered by Social Snap