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【2024年問題⑦】1人当たりの生産性向上/車両大型化

2024年問題

2022/07/08 2:50

 陸運大手は、長距離輸送の効率化に向け車両の大型化を急ぐ。全長21㍍や25㍍のフルトレーラの導入を進め、ドライバー一人当たりの生産性を高めて2024年度からのドライバーの残業規制に対応。今後は国内でトレーラ化が主流になるとの見方も出ているが、走行区間が限られたり、メーカーの供給不足で車両の導入が遅れたりといった課題は残る。ドライバーの育成も重要で、段階的に大型自動車免許やけん引免許を取得できる社内環境の整備も求められる。(土屋太朗、武原顕)

ハード・ソフト対策必須

 いわゆる「2024年問題」で、トラック事業者はもちろん、荷主企業も長距離輸送ができなくなることを危惧。フルトレの導入など車両の大型化を図って生産性を高め、特に幹線輸送で効率的な体系を構築する動きが広がっている。
 一方、高速道路で思うように休憩できなかったり、通行できるルートが限られたりするといった課題がある。課題解消には、人員の拡充や、それに伴うコストアップに対する荷主の理解が必要になる。脱炭素の流れが進む中で、単車に比べて二酸化炭素排出量の少ないフルトレの優位性を広く訴えることも重要だ。
 ヤマト運輸は17年9月に25㍍車を採用。19年3月には、日本郵便、日本通運、西濃運輸との共同輸送を関東―関西で始め、その後も各社で取り組みを拡充した。福山通運も25㍍車を積極的に採り入れ、現在、全国9路線で24台を運行する。
 また、ニッコンホールディングスでは23㍍車の導入を進める。自動車や自動車部品を取り扱う同社の事業内容を踏まえた時に、積載量が大型車の2倍に当たる23㍍の長さが最も適していると判断した。現在稼働しているのは1台だが、23年度に27台増やして大幅に輸送力を高める計画だ。
 より柔軟な輸送サービスを目指す例も出ている。センコーグループホールディングスは22年1月、リアカーをセミトレーラとして運用できるよう、ドリー(連結装置)を使った24㍍車の運行を開始。関東―関西の幹線をドライバー1人で運び、切り離し拠点からは10㌧車とセミトレーラに分け、別々の納品先に届ける仕組みを構築した。
 今後も車両の大型化は一層進み、国内を走るトラックの様子は変化するとみられている。福山通運の小丸成洋社長は「トレーラ化が全国でより一般的になる」と指摘。24年3月までに初の25㍍車の導入を計画する、トランコムの武部篤紀社長は「車格は超大型車と小型車とで二極化するのではないか」と言及する。
 熊本交通運輸(住永富司社長、熊本県益城町)は19年5月から、熊本県から埼玉県までのルートで21㍍車7台の運行を始めているのに加え、ツーマン(2人乗務)体制を敷くことで労働時間を短縮している。駐車場のスペース不足については、比較的空いている時間帯を事前に把握するなどして対応。本田登常務は「働き方改革に対する荷主企業の理解で、ダブル連結トラックを導入できた。今後は中継輸送を視野に入れている」と手応えを感じている。
 ただ、九州自動車道は25㍍車が通行できない区間があるため、25㍍車の導入を見送った経緯がある。同様に、別のフルトレ導入企業の幹部は「稼働はしているが、走行できない区間があるために積み下ろしが発生し、当初の予定通りにはなっていない」と明かす。

半導体不足で生産遅滞

 こうした問題に加え、半導体不足などの影響でメーカーの生産が遅れ、想定通りに導入できていない面もある。ニッコンHDは今年度、フルトレが納車されないと見込む。福山通運の小丸社長も25㍍車を20台増やす考えだが、現状では2、3年かかる見通しだ。
 ドライバーの教育体制の強化も欠かせない。日本梱包運輸倉庫(大岡誠司社長、東京都中央区)は22年4月から、各営業所に置くドライバーの指導員に対して指導する取り組みを開始。全国に100人以上いる指導員のレベルアップを通じて更なる安全運転につなげる。
 多様な車両をそろえる同社では、段階的に免許を取ってステップアップしようという社風がある。他の車両と比べ給料も多いフルトレの人気は高く、「フルトレが余っているということはなく、空いた車両を待っているドライバーも多い」(同社)とし、人材確保への好循環を生んでいる。
 フルトレの導入には、広いスペースのある拠点の設置や社内体制の整備といったハード、ソフトの両面で対策が求められる。通行規制の緩和や拠点外の駐車スペースの確保に向けた要望など、業界で取り組むべき点も多い。各社で積み上げた導入ノウハウを業界全体で生かして課題解消につなげなければならない。

ヤマトや日本郵便などは25㍍車での共同運行に取り組んでいる(19年3月)




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