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シモハナ物流、新卒入社が過去最多の120人 自社ドライバ―増めざす 働きやすい環境づくり

物流企業

2019/05/14 0:00

 シモハナ物流(下花実社長、広島県坂町)は4月に新卒の新入社員120人を受け入れた。同社では過去最多で、うち乗務職は31人。協力会社の人手不足が顕著になる中、今後は新卒者の育成に力を入れ、自社ドライバーによる輸送の比率を高めていく。2019年度からはリフレッシュ休暇など新たな制度をスタートさせ、働きやすい環境づくりに向けた対策をレベルアップさせた。(江藤和博)  120人のうち、大卒は35人(総合職22人、事務職13人)、高卒が85人(乗務職31人、作業職41人、事務職13人)。  同社は5年前から新卒者の採用を始め、2年前に自動車運転免許の取得支援制度をスタートさせた。19年度採用の新卒乗務職についても、普通自動車免許から準中型自動車免許の取得まで約40万円掛かる費用を会社で全額負担し、本社が2トン車を購入して配属先の営業所に配置する。  また、入社後3カ月、6カ月、9カ月、1年ごとに本社で研修を行うとともに、クレフィール湖東(滋賀県東近江市)など外部施設を借り、同社独自のカリキュラムで教育していく。  藤田弘・取締役管理本部長は「新卒ドライバーは早ければ10月ごろには乗務できるようになるが、基本的に1年間は独り立ちさせない考え。当社もドライバーが高齢化しており、将来の輸送力確保は顧客にとっても懸念材料だ。自社ドライバー増員は顧客の希望でもある」と話す。  一方、拠点拡大は今後も継続する方針で、直近では高槻第2センター(大阪府高槻市)が7月に、鹿児島センター(鹿児島市)は10月にそれぞれオープンさせる予定。また、20年秋の稼働を目指し、名古屋地区3カ所目のセンター用地確保に動いており、千葉か埼玉で関東地区4カ所目の自社センター建設を目指している。  更に、協力会社に委託している静岡県や北陸地区での配送を担う拠点設置も検討する必要があり、ドライバーの確保・育成は喫緊の重要課題となっている。  そうした状況を踏まえ、新しい福利厚生の制度を19年度からスタート。その一つであるリフレッシュ休暇は、社員の家族への慰労、自己啓発時間の提供などを目的としたもので、賃金控除無しの休日を年間3日付与し、1万円の手当を支給する。  これに加え、社員自ら学習する企業風土を醸成するため、資格取得の通信教育に年間3万円の手当を支給する「自分育み支援制度」や、西日本豪雨の経験を基に設けた復旧支援活動に参加する社員には、賃金控除無しの休暇を3日付与する「ボランティア休暇制度」も始めた。  また、給与面ではここ数年、2%程度の昇給を続けてきたが、労働時間規制による残業代の減少をカバーするため、19年4月は5%アップさせた。  一方、スマートフォン(スマホ)を使ったES(社員満足度)調査を、18年度に続いて19年度も2回実施する。QRコードを使って匿名で回答できるため、社員の率直な意見を集めることができる。要望事項は本社と営業所で担当を分けて全て対応する。18年度は名古屋地区の営業所で、自転車置き場から事業所への通路に屋根を設置した。  労働環境改善は乗務職だけにとどまらない。請求書発行など電子化されたデータの処理は全て自動化し、事務職の負担を軽減。また、六甲センター(神戸市東灘区)にはAI(人工知能)を搭載した自動積み付けロボットを導入しており、これから新設するセンターはロボット導入を前提にした設計にすることで、作業職の職場環境を改善していく。  藤田氏は「過去最多の新卒入社となったが、まだ目標に達していない。当社は人事スタッフだけでなく地区担当の役職者、品質管理のメンバー、営業所の所長ら総勢30人超が7月から学校を訪問する。20年度は120人を最低限度として、更に多くの人材を確保したい」と話している。 【写真=同社独自のカリキュラムで教育】





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