スワップボディー車を普及へ 国交省が年度内に指針 荷役の役割分担を明確化
行政
2018/10/18 0:00
国土交通省は年度内に、物流の生産性向上と働き方改革を推進するため、車体と荷台(コンテナ)を分離できるスワップボディーコンテナ車両の普及を目的としたガイドラインを策定する。荷主とトラック運送事業者の役割分担、相互利用できる標準的な車両の仕様などハード、ソフト両面の事項を盛り込む。(田中信也) 11日、トラック事業者や荷主、自動車の製作・架装メーカーなどの関係者で構成する「スワップボディーコンテナ車両利用に関する検討会」(山田輝希議長、国交省総合政策局物流政策課長)を立ち上げ、検討を開始。ガイドラインの方向性を示すとともに、導入事業者とメーカーへのヒアリングを行った。 物流分野の労働力、とりわけトラックドライバーの不足が深刻化する中、荷待ちなどによる無駄な労働時間を削減するため、国交省は車体と荷台を分離でき、分離中に荷役作業を行えるスワップボディー車の普及を促進している。 環境省のエネルギー対策特別会計予算に基づき、18年度にスワップボディー車の補助事業を創設するなど導入を後押しするものの、国内の生産メーカーは現在1社のみ。また、標準的な仕様が存在しないため、特定メーカーの車体と荷台の間でしか脱着できず、導入拡大の阻害要因となっている。 ガイドラインでは、こうした技術的課題を解消するとともに、荷主とトラック事業者の役割や、運用・管理上の留意点を明確化。スワップボディー車を相互利用できる環境整備と利活用促進を目指し、ハード、ソフト両面から仕様、運用、活用などに関する事項を盛り込む。 ハード面では、車体と荷台の緊締装置の位置やガイド幅の基準、コンテナのサイズ、段積みの可否、貨物鉄道への対応、互換性などを明示。ソフト面では、荷主とトラック事業者双方の役割分担の観点に立った運用方法や、両者の合意形成に向けた検討フローをメインに、バース側の注意点(高さ、接地面の起伏など)、乗務員教育の内容などを示す。全国的な普及に向け、好事例も紹介する予定だ。 ヒアリングでは、既にスワップボディー車を導入しているニトリの物流子会社、ホームロジスティクス(五十嵐明生社長、札幌市北区)と佐川急便(荒木秀夫社長、京都市南区)が、それぞれ取り組みなどを説明。また、現在、国内で唯一生産している日本トレクス(中島光彦社長、愛知県豊川市)、以前生産していたパブコ(ヒルマン・フォルカー社長、神奈川県海老名市)、日本フルハーフ(昼間弘康社長、厚木市)が車両の概要や導入事例、課題について報告した。 今回の議論やヒアリングで提示された論点について、11月か12月に開催する次回会合で検討し、ガイドラインの対象範囲を確定。年明けに開く最終会合でガイドライン案を提示し、年度末までに取りまとめる方針だ。 【写真=検討会の初会合で導入事業者とメーカーへのヒアリングを実施】