警視庁/貨物集配車両の駐車解禁、都内100エリア選定 「違反多発箇所」軸に 連続20分程度可能か
行政
2018/08/27 0:00
警視庁は、東京23区を中心とした100カ所以上の路上で、貨物集配中の車両を対象に駐車を解禁する。現在、港区のJR新橋駅付近など2カ所で試行的に実施しており、連続して駐車可能な時間などのルールの詳細を東京都トラック協会(浅井隆会長)と詰めた上で、2019年度から20年度にかけて順次拡大していく方針だ。(田中信也) 政府の働き方改革の一環で、自動車運送事業の働き方改革に関する関係省庁連絡会議(野上浩太郎座長、内閣官房副長官)は17年8月、直ちに取り組む施策を決定し、その中に「貨物集配中の車両の駐車規制見直し」を盛り込んだ。これを受け、警察庁は都道府県警に対し、対象車両や時間帯を限定とした駐車規制の緩和を求めており、今回の警視庁の取り組みは初の実施ケースになるとみられる。 対象となるのは、中小規模のビルが集積する商業地域やマンションが立ち並ぶ住宅地で、歩行者や車の交通に支障の無い程度の道幅がある道路。駐車を解禁する箇所には、青地に白文字で「P」と示した「駐車可標識」を設置するとともに、その下の補助標識に「貨物集配中の貨物車に限る」と明記し、他の車両による駐車を防止する。更に、解禁する箇所の利用実態などを踏まえ、駐車可能な時間帯を表示するケースもある。 解禁する箇所は、特に宅配利用の需要が多いエリアが対象。事業者の要望を踏まえ、東ト協の物流政策委員会(原島藤寿委員長)が「駐車違反が多い箇所」としてピックアップした100カ所を軸に決定する。また、東ト協は、連続して駐車可能な時間を自主規制ルールとして定める方針で、事業者からの要望を踏まえ「20分程度」とする公算が大きい。 本格実施を前に警視庁は4月から、新橋駅から近く、オフィスビルに面した港区新橋4ノ21ノ3、7月からは中小規模のマンションが多い品川区大崎5ノ6ノ4で試行実施している。いずれも標識の下に「貨物車専用」「20分以内の利用」への協力を求める立て看板を設置。新橋駅付近では解禁の時間帯を定めていないが、大崎は午前8時~午後8時の利用に限定している。 東ト協は近く、警視庁に対して解禁を希望する箇所を正式に要望。警視庁は2カ所での試行結果を踏まえ、今秋にも決定する見通しだ。その後、都民やトラック運送事業者への周知を図った上で、来夏をメドに本格実施するとみられるが、東ト協はできるだけ早期の解禁を求めている。 解禁に当たっては、安全の確保が大前提のため、一部のエリアでは歩道の幅を縮小するなどの改修工事が必要となる。このため、可能なエリアから順次解禁。警察庁が駐車規制見直しの集中的実施期間として定めた20年度末までに、全ての対象箇所での実施を目指していく。 【写真=現在、新橋駅付近など2カ所で試行実施中(港区新橋)】