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ZMP、宅配ロボ 日本初実証 ローソンと連携 来秋にも商業化

産業

2018/07/26 0:00

 ZMP(谷口恒社長、東京都文京区)は2018年度、ローソン、慶応義塾大学SFC研究所の協力を得て、宅配ロボットによる日本初のサービス実証実験を行う。商品の注文から受け取りまでを実用に近い形で行うもので、課題の洗い出しや利用者のニーズ把握を進め、19年秋にも商業化を目指す。(田中信也)  19日、東京都で開催された「ZMPフォーラム2018」で、自動走行する宅配ロボット「キャリロ・デリバリー」の新モデルを谷口社長が発表し、これを使用した実証実験の計画を披露した。  歩道や建物を自動で走行し、ラストワンマイルの物流を担う日本初の宅配ロボットとして17年に開発されたキャリロ・デリバリーは、六本木ヒルズなどの館内物流や、福島県南相馬市での公道などで実証実験を重ねてきた。今回発表したのは「量産前モデル」と位置付けられており、商業サービスに対応できるようデザイン、サイズ、ユーザーインターフェースをフルモデルチェンジした。  サイズは幅65センチ×長さ95センチ×高さ96センチと前モデル(75センチ×120センチ×109センチ)より小型化したことで、走行環境への適応力が向上。荷物の最大積載量は50キロ (前モデルは100キロ)と半減した。荷物を収めるロッカーは運ぶ荷物や訪問先数に合わせ1、4、8の各ボックスを用意するほか、あらゆるニーズに応じたカスタマイズにも対応する。  また、「単なる運ぶ機械ではなく、(マンガ、アニメの)サザエさんに出てくる『三河屋さん』のイメージ」として、ロボットに「表情」を付け、周囲とのコミュニケーション手段を進化させた。  IT(情報技術)面では、スマートフォン(スマホ)で商品の注文から決済、QRコードの読み取りによりロッカーの解錠を行うユーザー用アプリ、注文管理や各ロッカーへの商品の積み込みをサポートする店舗用アプリ、各ロボットの位置・ステータス管理、緊急時の遠隔操作ができる遠隔監視システムを用意している。走行スペックは前モデルと同様、最高時速6キロで、5センチの段差、傾斜8度の坂に対応できる。  新モデルを活用した実証実験は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO、石塚博昭理事長)から受託した「AIシステム共同開発支援事業」として実施するもので、慶大の湘南藤沢キャンパス(神奈川県藤沢市)で実施。学生がスマホで商品(弁当、飲料など)を注文し、実験に協力するローソンがキャンパスに設置する店舗(仮設または移動販売車を予定)で積み込みを行い、自動で注文者に配送するまでの一連のシステムについて実証する。  会見に出席したローソンの牧野国嗣オープン・イノベーションセンター長は「労働力不足による人件費高騰やニーズの多様化を受け、最新テクノロジーの導入について研究しており、宅配ロボットも未来のローソンを形成する重要なピース」とコメントした。  谷口氏は、実証実験で得られたデータや知見を踏まえて「来秋以降に量産モデルを投入したい」と言及。また、日本では公道での走行が認められず、当面は私有地や屋内での導入になるが、公道走行の実現に向けて「早期の規制緩和を政府に求めたい」と意欲を語った。 【写真=谷口社長(中央)とローソンの牧野オープン・イノベーションセンター長(その左)らがキャリロ・デリバリーの新モデルを発表】





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