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衆院選、自公が313議席獲得 国難突破 働き方改革がカギ トラ業界 労働環境改善を加速へ

行政

2017/10/26 0:00

 第48回衆院総選挙が22日投開票され、自民、公明両党で、衆院の3分の2を超える313議席を獲得した。11月1日にも特別国会が開かれ、安倍晋三首相(自民党総裁)が首相に指名され、組閣が行われる見通しだ。野党の足並みの乱れに助けられた面はあるものの、自公両党は第2次安倍政権発足から5年の取り組みが信任を得たとして、アベノミクスや北朝鮮問題への対応、教育無償化といった政策を推進する方針だ。選挙の争点に掲げた「国難突破」には、働き方改革の実現が重要なカギを握っており、トラック運送事業の労働環境改善に向けた取り組みが一層加速すると予想される。(田中信也、北原秀紀)  今回の衆院選では定数が10削減されたこともあり、自民は改選前の290議席から6議席減らしたものの、全ての常任委員長ポストを独占できる絶対安定多数261を大きく超える284議席を確保。公明は議席を35から29に減らした。  野党は、立憲民主党が公示前から3倍超の55議席を獲得し、野党第一党に躍進。一方、希望の党は7議席減の50議席にとどまった。  石井啓一国土交通相(比例北関東)をはじめ、国交省3役は全員が当選。首相は全閣僚を再任させる方針で、石井氏も引き続き任に当たる見通しだ。  自民党トラック輸送振興議員連盟の所属議員は一部落選者も出たが、細田博之会長(島根1区)、赤澤亮正事務局長(鳥取2区)ら幹部クラスは全員当選。なお、7月に逝去した故木村太郎氏の後任の幹事長は、年内にも開催する次期総会で選任する予定だ。公明党トラック問題議員懇話会では、北側一雄会長(大阪16区)、赤羽一嘉幹事長(兵庫2区)ら多くの幹部が当選したが、上田勇副会長(神奈川6区)は落選した。  自公が公示前の勢力をほぼ維持したことから、安倍政権は経済財政政策や社会保障の充実に向けた取り組みを一層推進していくことになる。  中でも働き方改革の実現に向けては、選挙公約でトラックなど自動車運送事業や建設業を、長時間労働の是正により労働環境改善を約束する重点産業に位置付け。政府が8月に打ち出した、関係省庁が取り組む自動車運送事業の働き方改革に向けた63施策の実現、国交省や厚生労働省などが進めているトラック運送事業の取引環境・労働時間改善に向けた動きがより加速すると期待される。  また、政権が維持・安定したことを受け、2017年度補正予算案の裏付けとなる経済対策の検討が始まる見通しで、トラック業界への影響が大きい、高速道路通行料金の大口・多頻度割引の最大割引率50%が18年度も引き続き措置されるかが焦点となる。  13、14年度の補正予算では燃料・原料費の高騰対策、15、16年度はETC2.0(次世代型自動料金収受システム)の導入促進の一環として、財源を確保してきた。ETC2.0の車載器に対する補助がひと段落した中、今回は働き方改革の観点から、ドライバーの労働時間削減への効果が切り口となる公算が大きい。  今回の総選挙の結果を受け、全日本トラック事業政治連盟の小幡鋹伸会長は「これまで政権与党を支援してきたが、こういう結果になり、各都道府県の政治連盟会長はじめ、皆さんのご尽力には感謝している」とコメント。  更に、「我々が行っている要望活動には継続性が求められ、安定政権だからこそ実現が可能になる。労働問題の解決や大口・多頻度割引の継続をはじめとする要望については、我々業界も引き続き努力する覚悟だ。実現していただくよう、よろしくお願いしたい」としている。 【写真=自民党が絶対安定多数を確保(党本部)】





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