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駐車規制緩和、「対象広く」求める声 宅配以外の貨物車も 負担軽減へ期待高まる

行政

2017/10/05 0:00

 警察庁が2017年度中に、貨物集配中の車両に対する駐車規制を一部見直す方針を打ち出したことを受け、トラック運送業界ではドライバーの負担軽減やコスト削減につながるとして、期待が高まっている。ただ、宅配車両を想定しているため、対象が限定される可能性がある。しかし、駐車問題に悩んでいるのはB to B(企業間)物流も同様で、幅広い範囲での規制緩和を業界は求めている。(田中信也、小瀬川厚、吉田英行、高橋朋宏、北原秀紀、上田慎二、武原顕)  駐車規制の一部見直しは、政府の自動車運送事業の働き方改革に関する関係省庁連絡会議(野上浩太郎座長、内閣官房副長官)が8月28日に決定した、働き方改革実現に向け関係省庁が取り組む63施策に盛り込まれたもの。一定範囲で集配車両の駐車を可能とするため、道路標識などを設置して駐車を規制する交通規制の運用見直しを想定している。具体的な内容は検討中だが、駐車禁止区域に「駐車可標識」の設置を増やし、補助標識で車両の用途や最大積載量、時間帯などを限定する公算が大きい。  06年の道路交通法改正で、交通違反確認の民間委託が可能になり、特に駐車監視員が行うケースでは、集荷・集配のため一時駐車する貨物車両への取り締まりが厳しくなった。ドライバーが駐車違反で免許停止になるのは死活問題で、最近では、佐川急便(荒木秀夫社長、京都市南区)の複数の社員がドライバーの駐車違反を「身代わり出頭」させたことが注目を集めた。  駐車スペースの確保に苦慮している宅配便事業者は多く、ヤマト運輸(長尾裕社長、東京都中央区)は「コインパーキングなどを利用して駐車場所の確保に努めているが、それが難しい地域もある」(広報戦略部)と現状を説明。一方、日本郵便(JP、横山邦男社長、千代田区)も「配送先近隣のコインパーキングを探すが、都市部では満車の場合が多く、停められたとしても配送先まで距離がある」(広報室報道担当)としている。  そのため、宅配事業者の労働条件改善につなげることが主眼である今回の駐車規制見直しには、「駐車可能エリアが拡大されれば業務効率化につながる」(ヤマト)、「宅配車両の駐車時間を考慮いただくことは有難い」(JP)と、歓迎の声が上がっている。  ただ、駐車問題は当然、宅配便に限ったことではない。東京都トラック協会(千原武美会長)をはじめとする都市部のトラック協会は、再三にわたり貨物車への取り締まり緩和を訴えてきた。今回の見直しの方針を受け、東ト協は駐車違反取り締まりに関する全会員を対象としたアンケートを実施。「緩和して欲しい具体的な場所・時間」などを質問項目として設定しており、10月末に回収・集約後、警視庁などへの要望に反映させる方針だ。  パンの配送は、納品先のコンビニエンスストアやスーパーが駅前や繁華街、住宅密集地などにぎやかな場所にあることが多く、しかも専用納品口を設けている店舗が少ないため、路上駐車するケースが少なくない。パスコ・ロジスティクス(今井正秋社長、神奈川県海老名市)の高橋則和管理本部長代理(57)は「交通標識で緩和する措置は歓迎。宅配車両以外の貨物車も緩和対象として欲しい」と話す。  駅構内店舗への配送を手掛ける群馬小型運送(群馬県高崎市)の川手和義社長(41)は「駅ビルやターミナル機能を持つ拠点駅には納品用駐車スペースがあるが、『一般駅では駐車違反になる』と指摘されたドライバーもいる。ただ、もっと問題なのは、日々運行ルートが異なるトラックだ。物流センターへの納品では、時間指定を受けていても路上待機が発生することが多く、車を離れれば駐車違反になりかねない。ぜひ待機場所を確保してもらいたい」と強調する。  エスライン九州(岡元幹雄社長、鹿児島市)の牧浩二総務部長(58)も「配送業務は積載量4トン車が中心なので、ぜひ車種、積載量の緩和対象を拡大して欲しい。対象になれば、ドライバーの負担軽減、駐車料金のコスト削減につながる」と緩和対象の拡大を切望する。  今回の規制緩和は、警察庁が17年度末までに都道府県警に関係通達を出し、見直しを指示するが、対象区間・箇所や緩和条件は都道府県警が決定する。駐車違反への対策は、地域固有の問題といって良い。  九州最大の繁華街、福岡市の天神地区では、共同集配事業の先駆けとなった天神地区共同輸送(眞鍋博俊社長、福岡市東区)が「イエローバード号」21台で集配業務を担い、都市交通の混雑緩和や環境負荷低減に寄与している。大庭義徳総務・経理課長(52)は「規制緩和は、商流貨物以外のトラックの流入が増え、過当競争に拍車がかかる」と指摘。その上で、「中途半端な規制の見直しではなく、『完全緩和』でなければ抜本的な解決はできない」と問題提起する。  一方、熊本市街地を中心に「グリーンネット号」で共配事業を行う熊本地区共同輸送(熊本市南区)の福山秀樹社長(55)は「集配業務の対象車種や積載量に制限を設けず、集配車両の駐車規制を緩和して欲しい」と要望する。  このほかにも、駐車反取り締まりへの配慮や荷さばきスペースの新設など、道路標識以外の対策を求める声が少なくない。最終的には、都道府県警や地域の商店、企業、トラック事業者の信頼関係が対策のカギを握っているといえよう。 【写真=「駐車可標識」を設置し、補助標識で車両の用途や最大積載量などを限定する公算が大きい】





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