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TDBC、中継輸送 仕組み構築へ 複数企業間で実証実験 中継地 最新技術で柔軟に設定

団体

2017/08/21 0:00

 運輸デジタルビジネス協議会(TDBC、梅村尚史幹事長)は、ICT(情報通信技術)、AI(人工知能)などを活用した中継輸送の仕組みの構築に取り組んでいる。ドライバーが自宅で過ごす時間を長くすることを目指し、7月下旬から香川―大阪(中継地)―静岡で実証実験を推進。今後、渋滞・事故情報などを新技術で集約し、最適な中継ポイントを、状況変化に応じて柔軟に設定し直す仕組みなどをつくる。(高橋朋宏)  10日に開いた会合で、中継輸送をテーマとするワーキンググループ(物流事業者、ソフトウェア会社など9社で構成)のリーダーを務めるトランコムの上林亮執行役員が、実証実験の結果と展望を報告した。  実験の運行計画では、香川発、静岡発のドライバーの拘束時間をともに14時間に設定した。  香川発のドライバーは香川→大阪(距離270キロ、走行時間3時間6分)、大阪→香川(276キロ、3時間25分)、静岡発のドライバーは静岡→大阪(273キロ、3時間25分)、大阪→静岡(273キロ、3時間25分)を想定。双方は中継地点の大阪で待ち合わせて荷物を交換し、それぞれの出発地に戻る――とした。  実際には、事故による渋滞など交通状況による運行の遅れや生産待ちによる積み込み作業の遅れなどで、予定したタイムスケジュールでは進まなかった。  その結果、拘束時間が延びて自宅に帰れなかったケースが多く発生。香川発のドライバーの拘束時間は2.3時間オーバーの16.3時間、静岡発のドライバーは3.2時間オーバーの17.2時間となった。  また、中継があるため(待ち合わせ時間が決まっているため)好きなタイミングで休息が取れず、無理をするケースもあった。  しかし、上林氏は「最新技術を利用すれば、課題を解決できるという手応えを得られた」と強調。  より良い中継の仕方として、①双方の位置情報を共有してドライバー同士がお互いの進行状況を確認する②自動計算技術で出発時間、中継場所を算出③交通状況などに合わせて最適な中継地点へ誘導する――などを提案した。  積み下ろし先の改善としては、ドライバーが納品予定時間や庫内荷役作業の進ちょく状況などを確認できるようにする。  今回は、単一の物流事業者の複数拠点で実験したが、いずれは複数企業間での実施も検討する。参加企業が増えるほど、選択できる中継ポイントは増加し、融通し合えるトラックも増えるため、効率アップに寄与できると見込む。  上林氏は「中継地点の柔軟な変更や積み込み時間の調整などを実施し、理想の輸送の実現を目指していく」と述べた。  ワーキンググループは「人手不足の解消」「車両稼働率向上と安全の実現」「乗務員の健康増進」など七つが設けられ、それぞれの課題解消を目指している。 【写真=各ワーキンググループの取り組みが報告された】





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