大型倉庫の火災対策、義務化含め検討必要 開口部や消火設備設置
行政
2017/05/18 0:00
国土交通省と消防庁は12日の有識者会合で、大型倉庫での火災対策として、外壁開口部などの侵入経路の確保やスプリンクラーといった消火設備の設置について、義務化を含めて検討する必要性を示した。ただ、倉庫業者にとってはコスト負担増につながる懸念があることから、出席した日本倉庫協会(藤岡圭会長)などは慎重に議論するよう求めた。対策は6月をメドに取りまとめる。(土屋太朗) 同日、埼玉県三芳町倉庫火災を踏まえた防火対策及び消防活動のあり方に関する検討会(小林恭一座長、東京理科大学教授)を開催。大規模倉庫での消防活動に対する今後の対策に関して、たたき台を示した。 建築基準法や消防法では、外部から侵入できる開口部の設置は、倉庫の2階までは義務付けていない。スプリンクラーは、ラック式で天井の高さ10メートル超の倉庫などが対象となっている。 たたき台では、火災が発生したアスクルの倉庫(三芳町)のように、2階の外壁開口部が少ない部分について、侵入経路をあらかじめ確保することを検討する必要性を明記。併せて、開口部があっても建物の中央部への放水が難しい場合があることから、スプリンクラーなどの設備の是非も課題に挙げた。 また、倉庫ごとに消防活動の計画を策定し、計画に沿って関係機関との訓練を行うよう示した。 こうした案に対し、日倉協や不動産協会(岩沙弘道会長)は「コスト増から事業者の負担感が増す」「最新の倉庫だけに義務付けた場合、物流コストの低い既存倉庫に荷物が集まるのではないか」と指摘し、慎重な検討を求めた。 会合後、小林座長は報道陣に対し「今回の提案を義務化にするのか、自主的にするのかが問われているが、消防隊が安全に消化でき、そうした状況にならないための設備は必要だ」と指摘。倉庫業界への影響については「倉庫関係の経営者からすれば、火災というリスクや損害、物流停滞などいろんなことを考え対策を講じる必要がある」と述べた。その上で、「一定の法改正は必要。開口部の義務付けは国交省や消防庁の考えだが、私も必要だと思う」と話した。 【写真=来月をメドに取りまとめる】