三昌運輸倉庫、鳥インフル対策強化 作業着 鶏舎ごとに着替え
物流企業
2017/02/02 0:00
【三重】三昌運輸倉庫(渡辺正夫社長、三重県四日市市)は2016年末から、鳥インフルエンザ対策を大幅に強化した。養鶏場に出入りする車両の洗浄・消毒に加え、ドライバーも鶏舎ごとに作業着を着替えるなど、徹底した衛生管理を行っている。(星野誠) 16年12月1日、高病原性鳥インフルエンザ(H5N6型)が青森県で見つかり、1月19日までに全国6道県8農場で確認されている。中部地区では、岐阜県山県市の養鶏場で検出され、ニワトリ8万羽の殺処分が行われたほか、東山動植物園(名古屋市千種区)も飼育する鳥の感染で一時閉園に追い込まれるなど、各地に影響が広がっている。 鳥インフル感染拡大を受け、養鶏場などへ飼料を運搬しているトラック事業者は、大きな不安を抱えながら対応に追われている。三昌運輸倉庫は鶏卵販売など食品関連事業を展開する三昌物産(渡辺大雄社長、四日市市)のグループ企業で、バルク車による飼料輸送を手掛けてきた。 渡辺康之営業課長は「殺処分が行われた山県市のケースは、決して他人事ではない。三重県内にも養鶏場は多く、人口の180万人を大きく上回る600万羽のニワトリが飼われている。特に配送エリアの鈴鹿市には養鶏場が集中し、1カ所で鳥インフルが見つかれば、一気に感染が広がる恐れもある」と説明。 更に、「殺処分になれば死活問題なので、養鶏場はピリピリと神経をとがらせている。感染した鶏舎の半径3キロメートルは移動制限区域に指定されるため、バルク車は仕事ができなくなる。我が社は売上高の25%を飼料関連が占めており、経営への影響は少なくない」と明かす。 顧客の飼料メーカーでは以前から、タイヤなどの車両下部を消毒液に浸たしてから入構するルールがあり、自社でも、車両の洗浄と消毒を入念に行ってきた。今回の騒動を受け、鳥インフル対策を更に徹底。配送先の全ての鶏舎にそれぞれ異なる作業着と長靴を置いた上で、ドライバーは鶏舎に入る際に必ず着替えるようにした。 渡辺康之氏は「青森県では、鶏舎間を往復していた運送会社の車両が、確たる根拠も無いのに、感染原因の疑いを掛けられたと聞く。このような『風評被害』が一番怖い。我々にできる対策は衛生管理ぐらいだが、自衛のため徹底するしかない。鳥インフルは例年、暖かくなると収束する傾向にある。今冬は、本当に春が待ち遠しい」と話している。 【写真=バルク車による飼料運送を手掛ける】