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農林水産物・食品/輸出拡大 卸売市場、整備活性化

行政

2017/01/19 0:00

 農林水産物・食品の輸出拡大へ、全国の卸売市場が整備を活性化させる。千葉県成田市は2020年をメドに、輸出機能を備えた市場を成田国際空港(成田市)近くに開設。京都市は、100億円を投じ市場の機能を集約し、ブランド和牛の輸出拡大を図る。国は19年までに輸出額1兆円(15年実績は7451億円)の目標を掲げており、補助金やマッチング機会の創設などハード・ソフト両面で事業者を後押しする。(土屋太朗)  農林水産省は16年11月、農林水産物の輸出に向けたインフラ整備プログラムを策定。ハード面のインフラ整備に当たり、輸出先によって異なる衛生基準に適合させる集出荷機能に加え、積み替えや梱包の手間を省いて輸送するための集約化の必要性を示した。その上で、全国41カ所の拠点について具体的整備案件を明示。16年度補正予算に、施設整備の支援として19億5千万円を計上した。  欧米やマレーシア向けにナシやメロン、水産物などを扱う成田市公設地方卸売市場(千葉県成田市)は、20年度にも成田国際空港近くに新設、移転。輸出用コンテナを積載できるヤードや加工処理施設といった機能を備え、輸出拠点として生まれ変わる。敷地面積は現行の7万平方メートルから9万~10万平方メートルに拡大。現在は整備計画を策定中で、18年度にも本格工事に乗り出す。  花き市場を運営する、なにわ花いちば(奥田芳彦社長、大阪市鶴見区)は大阪鶴見卸売市場(同区)の荷受けスペースに、敷地面積1500平方メートル、3階建ての輸出専用集出荷施設を建てる。17年5月にも着工し、年内の稼働を予定。温度変化の無い荷受けが可能なドックシェルターや、定温で選別できるパッキングセンター、品目ごとに温度管理できる保管庫などを備える。拠点整備に加え、輸出向け包装資材のデザインや規格を統一することで、日本産花きのブランド構築も図る。  京都市は、牛肉や豚肉を扱う京都市中央卸売市場第二市場(京都市南区)の集約化を推進。100億円を充て、地元産和牛を中心としたブランド和牛の輸出拠点を構える。現在は、輸出先が求める衛生基準を満たす遠方の施設まで牛を輸送するなど、非効率な面が出ている。天井高の不足の解消や高度な温度管理を実現し、欧米向けの輸出施設として認定獲得を目指す。17年度中に新施設の完成を控えており、周辺整備など全面リニューアルは19年3月を計画する。  東京流通センター(東京都大田区)でも、輸出専用の低温貯蔵施設を整備。産品の品質劣化を防ぐとともに、拠点からまとまった数量を輸出することで、輸送費の削減につなげる。 【写真=敷地面積は現行の7万平方メートルから9万~10万平方メートルに拡大(成田市公設地方卸売市場)】





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