西日本建設物流、千葉支店に車両配置 関東―関西 輸送体制を拡充・強化
物流企業
2016/09/01 0:00
【和歌山】西日本建設物流(渡辺将太郎社長、和歌山市)は9月から、千葉支店(仮屋園勉支店長、千葉県木更津市)に車両を配置し、関東と関西間の営業及び輸送体制の拡充・強化を図る。海上輸送の利用によるモーダルシフトで、労働時間の短縮や環境対策も進め、成長路線に一段と弾みを付けていく。(渡辺弘雄) 利用運送事業がメインの千葉支店では、2013年10月の開設以降、周辺の鉄鋼、橋りょうメーカーや地場の運送事業者への浸透を通じて、営業基盤を順調に固めてきた。持ち前の超重量物に関わる輸送、工事、鉄構(製造、加工)まで一貫して請け負う独自サービスがステップアップする時期を迎え、トレーラ5台を投入する。 自車輸送のスタートに伴い、関東、関西の拠点間輸送における荷物の確保、効率的な配車にとどまらず、労働環境改善と環境保全を視野に入れて今回、海上輸送の導入に踏み切った。 本社が和歌山港に近接する地の利を生かし、敷地内に20トンの天井クレーン2基を有する工場で部材を製造、加工して、車両に積載した荷物を海陸両ルートを使い分けて最適輸送するのが狙い。 特にシャシー、台車のみのヘッドレスとなる海上輸送の利用に当たっては、安全性向上、環境負荷低減、労働時間管理を重視。長距離輸送のネックとなりがちな交通事故、長時間労働のリスク低減を見込む。 メーカー出身の仮屋園支店長は、荷主側のニーズと現場の課題を熟知。「関東地域は、東京オリンピック、都市再開発、リニア新幹線など大規模建設事業が目白押しなだけに、物流需要に事欠かない。更に、プラントや電機の分野を切り開き、初年度で4億円を達成し、軌道に乗せる」と気概を持つ。 2002年5月に大阪市福島区で創業、15年5月、和歌山市に本社を移転した。トレーラ23台を保有し、16年3月期の売上高は14億円。拠点は、本社に和歌山支店、配車センター、和歌山工場を併設しており、三重県四日市市、兵庫県宝塚市、奈良県桜井市に営業所を置く。 高度な製造技術を持つ工場では、鉄鋼メーカーの工場長をはじめ、経験豊富な職人を多数そろえ、超重量物輸送に欠かせない部材の製作、加工に携わる。 工事事業においては、CAD(コンピュータ支援設計)データに基づく強度計算や道路の補強、通行経路の設定を行う。昨年、ドローン(小型無人機)を購入し、地上では分かりにくい道路と構造物の位置関係を正確に把握できるレベルに引き上げた。 昨今の人手不足に対し、ドライバー、職人、事務職とも十分かつ優秀な人材を確保。中でも超重量物輸送は、ドライバーにとって憧れの的となっており、口コミで知った志願者が後を絶たず、順番待ちの状態に近い。 安全確保に力を注ぎ、積み込み、積み下ろし時の立ち会いを徹底。ドライバーの体調管理に気を配り、健康診断の結果に沿ったきめ細かい指導や点呼時のチェックを欠かさない。 現在、顧客満足の向上、品質マネジメントシステムの継続的な改善を果たすべく、17年4月をメドに品質管理の国際規格ISO9001の認証取得を目指す。 渡辺社長は「仕事は公共工事が多い。超重量物に関しては、部材の加工・製造、工事、輸送に至る全ての工程を一貫して高品質で提供できるのが我が社の強みだ。将来的には、アジアを念頭に海外展開も考えている。千葉支店の本稼働を機に、より一層飛躍したい。今後も安全確保、コンプライアンス(法令順守)を最優先に事業を進めていく」と語る。 【写真=超重量物輸送はドライバーにとって憧れの的】