運輸デジタルビジネス協、テクノロジーで業界革新 設立総会 横断的連携めざす
団体
2016/08/18 0:00
トラックなど運輸事業者と情報通信技術(ICT)関連事業者など業界横断的に構成する運輸デジタルビジネス協議会(議長、内野弘幸・ウイングアーク1st社長)は9日、設立総会を開いた。ICT事業者が持つデジタルテクノロジーを広く運輸業界で活用し、労働力不足の解消や安心・安全な職場環境づくり、ソリューションの開発などに結び付けることを、トラック協会や国土交通省、経済産業省などとも連携して目指す。(高橋朋宏) 設立総会で、内野議長は「私がICT業界に入って三十数年。現在、様々な産業の在りようが変化している。運輸業界はその流れをうまく捉えて変わっていくべきだ」と話した。 また、「今後、人手不足が顕著になるのは間違いなく、人材をもっと育成しないといけない。運輸業界従事者は産業全体の5%も占め、リソースを共有する仕掛けがあってもいい。場合によっては協議会でサービスをつくり、新しく設立する事業体で運営することも検討していきたい」と構想を語り、多くの参加を呼び掛けた。 協議会の趣旨は①デジタルテクノロジーとおもてなしの心で運輸業界のイノベーションを実現し、革新的なサービスを実現する②デジタルテクノロジーの活用により運輸業界の労働環境を革新し、安心・安全な職場環境を提供することで、優秀な人材の確保と安全運行を実現する③乗務員の健康を守り促進する仕組みと教育の場を提供することで、人材不足など課題を解決する④協議会での活動、成果を積極的に公開し業界、社会に貢献する――。 具体的な仕組みは、ICT事業者などがサポート会員として、テクノロジーやノウハウを会員の運輸事業者と共有。ヒアリングや実証実験を通して、業界ごとや事業者個別の課題と解決策をマッチングさせる。 「安全運行の実現」「優秀人材の確保」「教育機会の創出」「革新的なサービス」「ドライバーの健康確保」「業界イメージの向上」などを解決するソリューションを可能な限り標準化。プラットフォームを構築し、他の会員事業者が低コストで導入できるようにする。 設立総会では、国交省、経産省、厚生労働省の担当者らもあいさつ。東京都トラック協会(千原武美会長)の遠藤啓二教育研修部長が東ト協の取り組みを発表した。 設立に向け、2015年4月から11回の会合を重ねてきた。次回は10月12日に東京都で開き、①正式会員の紹介と運営体制②今後の活動と年間スケジュール③実証実験――などについて話し合う。 運輸事業関係の会員はSGホールディングス(町田公志社長、京都市南区)、P&J(李孟東社長、東京都武蔵野市)、フジタクシーグループ(梅村尚史社長、名古屋市中区)。サポート会員は次の通り。 ▽アークウェル▽ACCESS▽アスア▽アフロ▽SGシステム▽M-ITコンサルティング▽エムログ▽大塚製薬▽オムロン▽データビークル▽FiNC 【写真=設立総会であいさつする内野議長(左)】