相双トラ協組、中間貯蔵施設への運搬 地元緑ナンバー優先発注
団体
2016/07/07 0:00
【福島】相双地区トラック協同組合(鎌田武雄理事長)は、原発事故に伴う中間貯蔵施設への除染廃棄物及び建設資材等の運搬に関して、「地元緑ナンバートラックの優先発注(使用)」の要望書を福島県相双地区の12市町村長に提出した。鎌田理事長ら執行部が、6月27日の南相馬市、相馬市などを皮切りに全市町村を訪れ、首長と面談。東日本大震災からの復興と地域経済の再生に向け、被災自治体として国や関係機関に優先使用を働き掛けるよう申し入れた。(富田久男) 同協組はこれまで、高速料金割引や火力発電所関連の石炭灰輸送などを行ってきたものの、組合員は社で、事業規模は決して大きくなかった。2016年度から、原発事故で発生した除染土壌など廃棄物の本格輸送(保管場等への移送)が始まったことから、「相双地区の復興、発展のために、地元運送会社として協力体制を強めよう」との声が高まり、組織再編と営業強化策などを検討してきた。 そこで、相双地区に拠点を持つ事業所に加入を呼び掛け、6月中旬に総会を開催。16社が加わり、35社に増員するとともに、事業内容に「中間貯蔵施設に伴う除染廃棄物及び建材輸送」を加え、共同事業の規模拡大を目的に再スタートを切った。 要望書では①早期復興、地域振興のためには、地元企業の再建、自立が不可欠②除染廃棄物や資材の円滑輸送のため、地元業界(緑ナンバートラック)を積極的に指名して欲しい③発注者側からの個別契約では、(多重下請けなどで)車両の安定供給と適正運賃の収受が難しく、安全管理に支障を来す――などを指摘。雇用の確保・創出、地域再生に向けて地元企業が優先的に指名を受けられるよう、協力を求めている。 6月28日には、相馬市役所を訪れ、立谷秀清市長と面談。鎌田氏は「組合員35社、保有車両500台まで組織を拡大した。震災と原発事故で相双地区の事業者は大きな打撃を受けた。再建、発展のため、地元運送会社の積極的な利用を、国や関係先に働き掛けて欲しい」と要望書を手渡した。 立谷市長は「震災時には、薬品や石油燃料などの救援物資をいち早く届けてもらい、地元トラック会社の皆さんに大変お世話になった」と感謝の意を示した。その上で、「地元企業が活性化しなければ、真の復興、再生は在り得ない。(中間貯蔵施設関連の)発注元ではないが、被災自治体としての立場から、復興対策として地元企業を積極的に活用するように、国、関係機関に強く要望していきたい」と、支援を強化していく考えを示した。 中間貯蔵施設の搬入業務を巡っては、福島県トラック協会(渡辺泰夫会長)が中心になって立ち上げた福島復興支援輸送協同組合(同理事長)も積極的な動きを見せている。5月の総会では、同施設建設に伴う建築資材輸送から除染廃棄物まで輸送品目を拡大し、組合員の増員を図って、組織を更に拡大していく方針を決めた。復興協組に対する協会員の期待も大きくなっている一方で、相双協組の動きに「競合するのでは」との声も一部から上がっている。 これに対し、相双協組の執行部は「大きなプロジェクトであり、緑ナンバートラック、地元企業としての交渉、受け入れ窓口の一つ。共に協力して円滑輸送ができる体制を整備していくのが目的」と話している。 相双と復興協組に重複加入している事業所もあり、今後の両協組の動きが注目される。 【写真=立谷相馬市長(右から3人目)に要望書を手渡す執行部役員ら】
