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車両安全対策、「人」起因の事故予防 先進技術基準・義務化を

行政

2016/04/25 0:00

 国土交通省は19日、最近の交通事故の傾向や技術の進歩を踏まえた、今後の車両の安全対策の方向性を示した。先進安全技術を大型車に普及させるための補助や義務、ドライバーの異常時対応システムの実用化、自動走行技術の基準化などを具体的な対策として列挙している。  同日開催された交通政策審議会陸上交通分科会自動車部会の技術安全ワーキンググループ(WG、鎌田実委員長、東京大学大学院教授)の会合で、事務局が交通事故のない社会を目指した今後の車両の安全対策の在り方に関する報告書案を提示した。  政府が第10次交通安全基本計画(2016~20年度)で示した「人、道、車」の三つの側面による総合的な交通安全対策のうち、「車」にフォーカスを当て、車両の安全対策について検討を重ねてきた。  報告書案では、従来の対策に加え、「先進安全技術の活用により、『人』に起因する事故を未然に防止」することを新たな視点として打ち出した。これに基づき、①高齢者、子供の事故への対応②歩行者、自転車運転者の安全③大型車が絡む重大事故④自動走行など新技術への対応――を対策の柱として掲げた。  大型車が絡む重大事故対策では、衝突被害軽減ブレーキなどの先進安全技術を積極的に導入する必要があることから、「引き続き購入補助、税制特例などを講じることで、普及を促進することが適当」と言及特に高い安全効果が見込まれる先進安全技術(車間距離警報、ふらつき警報など)については、「基準化・義務化を検討  また、3月にガイドラインを作成した「ドライバー異常時対応システム」の早期実用化を促進。更に、路肩に自動停止させるといった、より高度なシステムのガイドライン策定に向けて引き続き協議すべき――と指摘している。  歩行者・自転車への対策として示されたカメラモニタリングシステムを活用した車両周辺への視界・検知基準の拡大、右左折・後退時の警告音の普及策についての検討も打ち出した。  こうしたハード面のほか、運行管理や運転者の健康管理といったソフト面の対策も併せて講じる必要性に触れている。  自動走行など新技術への対応としては、高速道路上の自動走行技術の国際基準整備と並行し、セキュリティー対策や、システム故障時の警告、事故時の映像を含む記録に関する基準の整備などを推進。完全自動走行を目指した公道実証実験について、トラック事業者のビジネス形態などを踏まえつつ、技術の向上を見極めながら特区制度の活用や道路運送車両の保安基準に関する措置を講じることが必要――としている。  このほか、自動点灯前照灯(オートライト)や、自動ハイビームの義務化の可能性を視野に普及策を検討すべき――と言及している。  委員からは、ハード対策に加え、子供や高齢者を始め一般向けの教育・指導の強化を求める声が多く上が た。オブザーバーとして参加した全日本トラック協会(星野良三会長)の細野高弘専務は「トラックでは先進安全技術を一切搭載できない車種もある。オプションでも構わないので、全車種に装着できるようにすべき」と要望した。  6月開催予定の次回会合で再度協議し、報告書を取りまとめる。(田中信也) 【写真=6月の次回会合で再度協議し、報告書を取りまとめ】





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