石ト協、「加賀飛脚」を再現 社会共生の姿勢示す
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2015/07/09 0:00
【石川】石川県トラック協会(谷本義治会長)は6月28日、江戸時代に行っていた「加賀飛脚」を復活させた。天然の氷を将軍家に献上した史実に基づく伝統行事に参加。青年部会(坂池克彦部会長)の有志が運搬に携わり、広く一般に物流の重要性をアピールした。 金沢市の湯涌温泉観光協会(安藤精孝会長)が30年間、継続している夏の風物詩「氷室開き」に協賛。以前は、冬季に仕込まれた雪氷を取り出し、近くの寺に奉納してイベントは終了していたが、2014年から石ト協も協力し、実際に長持で市内中心部まで運ぶパフォーマンスを加えた。 前回は湯涌温泉から金沢城公園までの13キロだったが、今年は北陸新幹線の開業を祝い、JRの金沢駅まで人力で輸送した。4キロほど伸びたものの、その分、より多くの人たちが目にすることになった。 部会員が飛脚の衣装をまとい、4、5日かけて昼夜を問わず走ったとされるエピソードを忠実に再現。途中、雨に降られる時間も数回あったものの、地域社会と共生する業界の姿勢を世間に示そう――と、ひた向きに取り組んだ。 大勢の観光客らがカメラを構え、拍手や声援を送る中、同駅東広場の鼓門前に到着。多数の関係者と一緒に出迎えた谷本会長が、取り出された氷を安藤会長へ手渡した。 谷本氏は「私たち業界を取り巻く情勢は大変厳しいが、若手のすがすがしい姿は県民に活力を与えられたのではないか。本当にあっぱれ、ご苦労さま」とねぎらった。 坂池部会長も「5時間を要したが、たるんだ体にむち打ちながら何とか頑張ることができた。今後も可能な限り続けていきたい」と表明した。 なお、氷は10月17日に加賀藩が下屋敷を構えていた東京都板橋区へ改めて届けられる。(河野元) 【写真=鼓門前で氷を掲げる谷本会長(左)と湯涌温泉協会の安藤会長】