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労働時間改善の地方協議会、全都道府県で発足 地域の実情即し検討

行政

2015/07/06 0:00

 国土交通、厚生労働の両省が主催する、トラック輸送における長時間労働と取引環境改善の地方協議会は、13日の新潟県を皮切りに、8月中には全都道府県で発足する見通しだ。一般論ではなく、地域の実情に則した検討が期待されるが、前身のトラック輸送適正取引推進パートナーシップ(PS)会議の延長線に位置付ける都道府県もあり、地域間で温度差がみられる。労働環境改善の「最後のチャンス」とも期待されており、地域の「本気度」が問われる。  今国会に提出中の労働基準法改正案では、月60時間超の時間外労働に対する割増賃金率50%を2019年4月から中小企業にも適用することが盛り込まれている。総労働時間の長いトラック事業では割増賃金の適用に当たり、手待ち時間の発生といった、業界の努力だけでは解決できない問題に取り組む必要があるため、両省をはじめ関係行政機関、トラック業界、荷主企業・団体などが参加する協議会を中央と各都道府県に設置。18年度までの4カ年で検討を重ねていく。  中央では、5月20日に国交、厚労両省と経済産業省、全日本トラック協会(星野良三会長)、荷主団体などからなる協議会(野尻俊明座長、流通経済大学学長)の初会合が開かれ、取り組みがスタートしている。  一方、都道府県単位の地方協議会は、取引環境・労働時間改善に関する「総論」ではなく、地域での具体的な長時間労働の実態を踏まえた「各論」に踏み込み、根本的に改善していくために設置する。  都道府県労働局や運輸支局、都道府県ト協が主体となり、経済団体代表や各地方での主要な荷主企業が参加。中央協議会発足時には、7月までに全都道府県で立ち上げ、3カ月〜半年のペースで開催する方針を示していた。  発足に向けて現在、委員の選定や議題の確認など最終調整が進んでいるが、本紙取材により17県の開催日程が判明した。現時点では、新潟県が全国のトップを切って13日に開催する予定。その後、23日に広島、27日には山形、福島、千葉、富山、鳥取が同時に立ち上げるなど順次発足し、8月中には全都道府県で出そろう見通しだ。  初会合では、委員の顔ぶれ、特に、どの荷主企業が選出されたかに興味が集まる。国交、厚労両省は「主要な荷主企業」としているが、地域の模範的な企業ばかりでは、実態に則した検討が進められない可能性がある。  荷主企業の代表は、都道府県労働局が選定することとなっている。ただ、PS会議を踏襲するため、このメンバーがほぼ引き継がれるケースが少なくないようだ。富山では、不二越、YKKAP(堀秀充社長、東京都千代田区)などPS会議と同じ5社から委員が選ばれる見通しだ。  ある県では、その地方を代表する小売チェーンに対し委員就任を打診したが、「日程が合わないことや、直荷主では無いことを理由に断った」(県ト協関係者)という。この企業に関する物流は長時間の荷待ちなど問題が多く、課題の検討に最適だったが、別のアプローチへの方針転換を余儀なくされた。  このほか、地域を代表する大手メーカーに断られた県もある。また、メーカーの地域子会社や支社などは最終的な決定権を持たないケースが多いため、検討結果に対する実効性確保という点で疑問符が付く。選定された荷主企業を見れば、各地域の「本気度」がある程度測れそうだ。  地方協議会の前身となるPS会議は、地方運輸局単位のエリア会議と、都道府県会議を立ち上げ、最終的に7年間でエリアが延べ69回、都道府県は117回開催された。  都道府県会議は、運輸局のある都府県でエリア会議との合同開催を認めるほかは、原則、全て発足させる方針だった。だが、長野、静岡の両県は最後まで設置できなかった。  また、神奈川、福井、島根、山口、佐賀県がほぼコンスタントに5回開いたのに対し、岩手、福島の両県は10年に1回開催したのみ――など対応が分かれている。  ある関係者が「PS会議では『今度は何を議題にしようか』と頭を悩ませることが多かった」と打ち明けるように、発足から時間を経たことで、マンネリ化、形骸化していたことは事実。これに対し地方協議会は、「取引環境と長時間労働の改善」という明確なテーマがあるため「協議が進めやすい」と評価している。  地方協議会の初会合では、全国のトラック事業者に対して行う、長時間労働の実態調査の送付先を確定。調査結果を踏まえ今年度末までにパイロット事業の実施内容を固める流れだ。  「長距離輸送での労働時間管理は崩壊状態で、将来ビジョンが描けない」といった閉そく状況の中、運輸、労働の両行政官庁がタッグを組んだ協議会に対する業界の期待は大きい。検討に対する実効性を担保する上で、地方協議会を適正に運営できる否か――がカギを握っているといえよう。(田中信也、黒田秀男、佐々木健、河野元、俵箭秀樹、奥出和彦、江藤和博、矢野孝明、武原顕、上田慎二) 【写真=PS会議の延長線と位置付ける都道府県も(新潟のPS会議=2月25日)】





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