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働きやすい職場認証/グローバル、人材確保へ注力

 グローバル(横瀬憲導社長、山口県防府市)は、本社隣接地に第4三田尻物流センターを新築するなど事業を拡大しており、人材確保に力を入れている。2024年に入って20代の若手4人が相次いで入社。全員が異業種出身で、会社の支援で大型自動車免許を取得し、現場で活躍中だ。23年6月には働きやすい職場認証(運転者職場環境良好度認証)の二つ星を取得しており、25年度は三つ星を申請する。(江藤和博)

 物流効率化の具体策として取り上げられることが多いモーダルシフト。カーボンニュートラル(CN、温暖化ガス排出量実質ゼロ)への対応も踏まえ、政府は鉄道と船舶による輸送量の倍増を目指している。一方、1980年代に注目されるようになって以降、進展がないという指摘もある。実運送を担う事業者が利用しやすく、利益を出せる環境をつくれるかが重要になる。(特別取材班)

「40年間進展なし」の声も

 政府は2023年10月の「物流革新に向けた緊急パッケージ」で、鉄道コンテナ貨物と内航海運(フェリー、RORO船など)について、「輸送量・輸送分担率を今後10年程度で倍増」の目標を掲げ、11月には国土交通省が30年代前半に鉄道コンテナ貨物が年間3600万㌧(輸送分担率0.8%)、内航海運が1億㌧(2.6%)の具体的な数値を示した。
 その実現に向け、大型トラックからシフトしやすい31㌳コンテナの利用を増やしつつ、国際海上コンテナとして主流の40㌳コンテナも中長期的に利用を拡大する。シャシーや低床貨車の導入、拠点の整備なども後押ししていく。
 日本貨物鉄道(JR貨物)は31㌳コンテナの利用拡大について、25年度までの目標として20年度比11.2%増を掲げている。現状、大型化の推進は堅調。利用運送事業者によるブロックトレイン(BT)がけん引役で、積合せ貨物の増量と労働時間の上限規制によるトラックからのシフトが中心になる。
 その流れを受け、全国通運(永田浩一社長、東京都中央区)でも31㌳コンテナの保有拡大の方針を打ち出した。今後10年間で、保有数を現状の5倍となる350個に拡大する予定だ。
 日本内航海運組合総連合会(栗林宏吉 会長)もRORO船やコンテナ船のニーズを把握するため、23年11月に定期船輸送特別委員会(久下豊委員長)を発足させた。検討体制を強めることで、24年問題を背景とした船舶に対する需要の現状把握などを行う。

現場利用しやすく

 丸吉ロジ(吉谷隆昭社長、北海道北広島市)は、独自に開発した蓋(ふた)のない20㌳のコンテナを使い、本州で鋼材などの鉄道輸送を進めている。荷主からの相談がきっかけで、将来の輸送力不足への懸念を背景に、モーダルシフトの需要が高まりつつある。吉谷社長は「各輸送モードの強み、弱みを補完する仕組みが重要」と話す。
 ただ、現場の運送事業者が利用しやすい環境がなければ普及は難しい。経営上十分なメリットがなければ、モーダルシフト以前に長距離輸送からの撤退を選ぶ企業も出てくる。
 札幌圏のある運送事業者は、23年末で北海道―本州の運行を終えた。燃料価格やフェリー代の高騰が運賃に見合わなかったほか、労働時間の管理も難しかった。現状、フェリーの乗船時間は全て休息期間となるが、改善基準告示に定める9時間に満たない場合、下船後に補う必要がある。この事業者の社長は「フェリーターミナルなどで乗船を待つ時間も休息期間にできればもう少し負担が少なく済むのに、現状の仕組みでは認められない。実態に合っていないと思う人は多いのでは」と話す。
 モーダルシフトが最初に打ち出されたのは1980年代。現在注目が集まっているのは、その後の広がりが十分でなかった裏返しでもある。4月3日の衆議院国土交通委員会で、日下正喜氏(公明、比例中国)は輸送量など倍増の目標について質問し、「モーダルシフトは40年も進んでいない」と指摘。国交省のリーダーシップでコンテナヤードなどのインフラ整備を急ぐよう要請した。必要経費の運賃転嫁の後押しや、関係する法規制の見直しなども含め、幅広い支援も不可欠といえる。

 外国人在留資格の特定技能制度の対象に「自動車運送業」が追加されたが、日本人と同等の給与水準が求められ、研修や生活支援などにかかるコストを踏まえると、中小トラック運送事業者にはハードルが高く、当面は大手・中堅事業者による受け入れが中心となる可能性が高い。ただ、実際の受け入れには大手、中小を問わず課題が山積し、「様子見」の事業者が大半を占める。(特別取材班)

 全国軽貨物協会(西田健太代表理事)は、eラーニング方式のドライバー認定制度「軽貨物パスポート」の運用を早ければ7月にも始める。軽貨物や個人事業主に関連する法令、マナーを学んだ人を認定する制度で、社会インフラとも言える宅配業界のコンプライアンス(法令順守)意識の向上、運行管理の適正実施による安全確保につなげる。5月17日には「軽貨物フォーラム」を初開催する予定で、2024年に入り活動を活発化させている。(高橋朋宏)

 木村運送(木村収一社長、神奈川県平塚市)は創業100周年事業の一環として、一般企業に就職することが困難なメンタル疾患の障がい者に軽作業を提供して就労を支援する取り組みを今秋までに始める。物流の領域にとどまらず、社会・地域貢献につながるビジネスを今後も模索していく。(吉田英行)

 トランコムは求貨求車サービスで、「2024年問題」の影響によりニーズの拡大を見込む中距離輸送の獲得に力を入れていく。併せて、サプライチェーン(SC、供給網)の変化に対応するため、直荷主や3PL(サードパーティー・ロジスティクス)企業をターゲットに輸送量の増大を狙う。物流センター運営などを行う事業では、25年にも中部エリアで2カ所の自社拠点を設けるなど、主体的な事業展開を進める。(山根藍利)

 明治ロジテック(荒木智社長、東京都江東区)は、外販ニーズの取り込みを強化する。親会社の明治(松田克也社長、中央区)の仕事が今後も軸となるのは不変だが、少子高齢化などを背景に物量が減少していることから、グループ外の事業比率を高めることにも注力。4月にスタートさせた3カ年の新中期経営計画の最終年度となる2027年3月期は、売上高に占める外販事業の割合を現在の10%から15~20%に引き上げる目標を掲げている。(沢田顕嗣)

 シンエイ・LOGISTICS(奥山廣藏社長、山形県酒田市)は4月、福島県郡山市に「郡山営業所」を新設した。南東北のネットワーク構築の一環として、本社、山形(山形市)、仙台(仙台市若林区)に続く営業所の開設で、共同配送や宅配、チャーター輸送など幅広い物流ニーズに応えていく。(黒田秀男)

 丸やグループ(佐藤興司会長、福島県二本松市)は4月21日、グループ4社の代表者らが2024年度の経営方針を示し、全体で売上高35億円を目指す決意を新たにした。丸や運送(佐藤仁社長、同)はデジタルタコグラフのシステムを活用した時間管理を強化する。マルコ物流(遠藤吉次社長、同)は、7月に二本松市高田地区に新たな倉庫を稼働させる計画だ。(今松大)

 アスロード物流(安田浩社長、横浜市鶴見区)グループは、グループ3社の持ち株会社として3月に発足したアスロードホールディングス(同)を軸とするHD制に移行し、4月23日から新築自社ビルに本社を移転して業務を始動した。経営基盤の強化とグループの業務集約・効率化を図るとともに、持ち株会社では闘病中のがん患者を積極的に雇用する。(吉田英行)

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