ホワイト物流賛同の輪(23)/ウッドワン、輸配送車両 最適化へ 隔日・定曜日 納品日を集約 バース管理導入視野
物流企業
2022/10/21 2:40
木質総合建材メーカーのウッドワンは、トラックドライバーの時間外労働の上限規制をはじめとする「2024年問題」を念頭に、対策を講じている。トラック輸送が主力の製品出荷は定期便が中心で荷待ち時間の問題はほとんどないが、荷役時間を削減するためパレットの仕様変更を検討中。また、輸送頻度の見直しによる輸送効率の向上やモーダルシフトの推進などにも取り組んでいる。ただ、自社だけでは解決できない課題もあり、着荷主となる取引先の協力をはじめ幅広い施策や支援が必要だ。(矢野孝明)
国内の主な生産拠点は、広島県の本社製造部と愛知県の東海製造部にある二つの工場の計3カ所。ここで製造された製品は本社物流センターと愛知の東海物流センター、茨城県の関東物流センターにそれぞれ運ばれた後、全国の中継拠点を経由するか直送によって、商社や卸、建材販売店、住宅メーカーといった顧客へ届けられる。
製品を出荷するトラック便は長距離、短距離を含め定期便契約が中心で、届け先や積み下ろし時間は固定化。多くのメーカー物流で課題となっている長時間の荷待ちについては、ほとんど見受けられない。
それでも、顧客からイレギュラーな時間の指定や変更が要求されることもあり、非効率的な輸配送を余儀なくされるケースもある。2024年4月以降の労働時間短縮によるドライバー不足に備え、輸配送トラックの台数の最適化は重要な課題だ。
対策として、納品先への出荷量が減少した場合には、隔日配送や定曜日配送といった納品日の集約を想定。しかし、顧客にとってはサービス低下となるため、理解と協力が得られるよう、物流効率化の必要性を丁寧に説明していく構えだ。このほか、ドライバーの入退場受け付けシステムやバース管理システムの導入も視野に入れている。
パレット仕様変更も
製品の輸配送には04年ごろから、木製パレットの活用を開始した。手積みに比べ負荷は軽減されているが、建材は多品種で荷姿やサイズが多様なため、一つのパレットに混載するのは単純な作業ではない。また、トラックでの輸送中に荷崩れなどを発生させないよう、丁寧な荷造りが求められる。
そこで、積み下ろしに要する時間や手間を減らそうと、荷崩れ防止にも有効なスチール製のポストパレットの導入を計画。自社製品に合った仕様を研究し、22年中にも取り入れたい考えだったが、鋼材価格の高騰などにより、実現の時期が遅れる可能性が出ている。
モーダルシフトも推進し、関東向けの出荷で10年以上前から鉄道コンテナ輸送を利用。脱炭素社会への対応として船舶を含め可能な範囲で転換したい意向だが、運行スケジュールとリードタイムなど合致しにくいケースや、コンテナの規格に収まらない長尺の建材も少なくないため、物量全体の数パーセントにとどまっている。建材物流の分野でモーダルシフトを加速させるためには、各輸送キャリアや国策レベルの取り組みが求められるところだ。
現時点ではトラック不足に見舞われていないが、持続可能な物流の実現に向け「ホワイト物流」推進運動に賛同。以前から荷主としての施設整備や事故防止を重視し、構内の路面整備や夜間照明設置、安全な作業手順の指導、安全装備品の充実などを進めてきた。異常気象による災害が多発する近年は、物流事業者による運行の中止・中断の判断を尊重するなど、気象リスクマネジメントも強化している。
戦略統括本部コーポレートコミュニケーション室の井深正寿室長は「物をつくっても運ばなければメーカーは成り立たない。物流事業者とはウィンウィンのバランスが大事で、常に見直しや改善を進めていきたい」と強調する。
▼ウッドワン 広島県廿日市市に本社を置く木質住宅建材メーカーで、1935年に木材業として創業。52年に中本林業を設立し、69年に住建産業に社名改称、2002年10月に現社名へと変更した。本社のほか愛知県豊橋市と蒲郡市にそれぞれ工場を保有。物流センターは廿日市市、豊橋市、茨城県坂東市に置く。海外関連会社でニュージーランド、フィリピンにも工場を展開。ニュージーランドに保有する森林から最終製品まで一貫した森林認証製品の出荷体制を確立しており、環境に配慮した経営も特徴となっている。従業員数は連結で2449人、22年3月期の連結売上高は665億8200万円。
トラックドライバー不足に対応し、国民生活・産業活動に必要な物流を安定的に確保するためにスタートした「ホワイト物流推進運動」は、関係者が協力して改善を進めることでサプライチェーン(供給網)全体の生産性向上につながることが期待される。
運動の理念に賛同し、自主行動宣言を提出した荷主企業の取り組みを紹介する。
(「ホワイト物流」推進運動の加速を後押しするため、全文掲載しています)

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