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ホワイト物流 賛同の輪(20)/北海道ぎょれん、パレット化&共配拡大

荷主

2022/01/25 3:00

 北海道漁業協同組合連合会(北海道ぎょれん、川崎一好会長)は、持続可能な水産品の物流体制を構築するため、物流事業者との連携を強化していく。パレット化や共同配送などの取り組みを広げるとともに、生産者や納品先、行政なども巻き込んで改革を進める。また、働き方改革に取り組む優良な物流事業者を積極的に利用していく方針だ。(朽木崇洋)

優良事業者を積極的に利用

 全道の漁協の出資により、1949年に設立した。現在は、水産品の販売・流通を支援する「販売事業」、燃料などの共同購入によりコスト削減を図る「購買事業」、経営改善や課題解決に向けた「指導事業」の三つを柱に事業を展開。関連8社からなるぎょれんグループで、水産物の加工や販売、輸出入なども手掛ける。
 ホワイト物流推進運動には2021年10月に賛同した。北海道ぎょれんによると、漁協関連団体の賛同は全国で初めて。背景について、販売企画部の平野康隆部長は「漁業や水産加工業の現場では、物流業界と同様に人手不足と高齢化が進んでいる。お互いに働きやすい環境づくりを進めていかなくてはならない」と説明する。
 「長い荷待ち時間と手作業での荷下ろしが効率悪化の最大の要因」(平野氏)との認識の下、入出荷情報の共有や、サプライチェーン(供給網)全体での協議を通して物流改善を模索。また、共同配送便やパレットの活用も進める。これらは既に着手しているものの、一部店舗への納品や、特定の加工工場から冷蔵倉庫への輸送などに限られており、更に拡大していくことを目指す。
 更に、働き方改革に力を入れる物流事業者を率先して利用するとともに、荷主の立場から労働環境改善に協力していく。
 一方で、課題も多い。水産物は漁獲量が読みづらい上、旬があるため特定の時期に出荷が偏る。パレット化には、他の貨物同様、回収・管理に手間がかかるのに加え、パレット分の積載量の低下は避けられない。出荷地や、納品先の加工工場でも労働者が減り、処理能力に影響している。
 こうした課題の解決に向けては、各事業団体や行政と共同でプロジェクトを立ち上げ対応していく考え。平野氏は「どんなに良いものが獲れても、運んでもらえないことには商品にならない。物流事業者の声を聴き、全体の利益につながるような改革を進めていきたい」と話している。


 ▼北海道ぎょれん 全道の漁協の出資で組織された協同組合連合会。販売事業、購買事業、指導事業を柱に、各地の生産者や漁協と一体となり、北海道漁業の安定と良質な水産物の円滑な提供に取り組む。関連会社8社から成るぎょれんグループで、水産物の加工や販売・輸出・販売のほか、漁業資材の供給、漁協関連施設の設計管理なども行う。2021年3月期の総取扱高は2305億円。


トラックドライバー不足に対応し、国民生活・産業活動に必要な物流を安定的に確保するためにスタートした「ホワイト物流推進運動」は、関係者が協力して改善を進めることでサプライチェーン(供給網)全体の生産性向上につながることが期待される。
運動の理念に賛同し、自主行動宣言を提出した荷主企業の取り組みを紹介する。
(「ホワイト物流」推進運動の加速を後押しするため、全文掲載しています)

漁協関連団体の賛同は全国で初めて




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