物流ニッポン – 全国の物流情報が集まるポータルサイト

ヒサマツHD、シャシーとボディー着脱 セパレートボデー開発 中継輸送しやすく

物流企業

2021/11/19 2:40

 ヒサマツホールディングス(久松孝治社長兼CEO=最高経営責任者、大阪市阿倍野区)が、シャシーとボディーの切り離しが可能な「セパレートボデー物流ビジネス」で、ドライバーの人手不足や労働時間短縮といった課題解決に取り組んでいる。アウトリガー(転倒防止装置)を取り外せるため、スワップボディーより積載量を確保できる。業界全体で困難を乗り越えるため、他の運送事業者への営業も積極的に行っている。(黒須晃)
 ヒサマツHD傘下のトランスポートアトミック(久松社長、同)向けの車両が完成。ベストライン(辰己千里社長、奈良県五條市)も同じ車型を導入する。1日には、両社の車両をお披露目した。本格的な事業展開に向け、テスト運行も順次実施しており、メリット・デメリットの抽出、分析を行っている。来春の定期運行を目指しているという。
 トラックの修理架装を手掛ける栄進ボディ工業(久松社長兼CEO=最高経営責任者)を中心に車両製造、事業開発を行い、特許も出願。独自の技術でシャシーとボディーを簡単に分離できるものの、トレーラとは異なり、免許やボディーの車検・重量税も不要という利点がある。シャシーとボディーを4カ所のツイストロックなどで固定。独自に開発した昇降装置を使い、ボディーの脱着を実現した。スワップボディーはアウトリガーを収納する構造のため、アウトリガーを取り外せるセパレートボデーの方が軽く、積載量を確保できる。
 関西―関東の長距離輸送などでは、中継拠点で関西、関東それぞれのボディーを脱着して載せ替えている。中継地点との往復のみで済むため日帰り運行が可能になる上、拘束時間の短縮、実車率の増加を見込める。当面は、トランスポートアトミックの浜松市の拠点に専用器具を置き、脱着の中継地点にする。中継地点の休憩・宿泊施設で8時間の休息を取っている間にボディーの載せ替え作業を実施することも可能で、効率的な運行につなげられる。
 ボディー部分はレンタルも可能。車両、ボディーとも新造車で購入できるほか、運送会社が保有する車両を改造する方法もある。新造車よりも改造した方が全体としての費用を安く抑えられるという。運送会社の事業規模や運行形態によって、車両リース料やボディーのレンタル料などについても柔軟に対応していく。
 久松社長は「本事業が全国に普及すれば、働き方改革に迫られる中小の運送事業者の一助となるはずだ。そのためには、需要に対応できるだけの生産体制の強化が不可欠。生産、製造にご協力いただけるメーカーや事業者を探している。長年の課題解決へ向け、業界全体で取り組んでいきたい」と話している。

トランスポートアトミックの車両をお披露目




本紙ピックアップ

公取委と中企庁、研究会発足

 公正取引委員会と中小企業庁は、サプライチェーン(SC、供給網)全体での適切な価格転嫁の取引環境実現に向けた官民の検討を開始した。現状の買いたたき規制の執行強化に加え、下請代金支払遅延等防止法(下請法)の改正を視野に、「…

北海道半導体人材育成推進協、物流課題調査へ検討会

 北海道で半導体関連産業の基盤強化を目指す「北海道半導体人材育成等推進協議会」は、関連する物流課題を調査するとともに、専門の検討会を設ける。秋ごろをメドに初会合を開き、年度内に現状の課題と対応策を整理する。18日、札幌市…

ヤマトオートワークス、事業者の最適稼働に貢献

 ヤマトオートワークス(金井宏芳社長、東京都中央区)は「稼働を止めない」を掲げ、物流・運送事業者のアセットの最適稼働に貢献している。整備計画や実績はデジタルデータで顧客と共有し、営業担当が顧客を月1回訪問して掛かったコス…

北陸道開通後/NEXCO調べ、農水産品の輸送量8倍

 中日本高速道路と東日本高速道路のNEXCO2社が19日発表した北陸自動車道に関する調査によると、部分開通された1972年から50年で、北陸から全国に向けた農水産品の輸送量が8倍に増えたことが分かった。新潟、富山、石川、…

オススメ記事

外国人労働者雇用、「社会全体の適応」重要

 人手不足を背景に、外国人労働者の採用が増えている。永住権のある外国人の採用をはじめとした従来の雇用の枠組みに加え、外国人在留資格の「特定技能制度」に自動車運送業が追加されるなど、様々な背景の外国人労働者が活躍できるよう…

公取委と中企庁、研究会発足

 公正取引委員会と中小企業庁は、サプライチェーン(SC、供給網)全体での適切な価格転嫁の取引環境実現に向けた官民の検討を開始した。現状の買いたたき規制の執行強化に加え、下請代金支払遅延等防止法(下請法)の改正を視野に、「…

北海道半導体人材育成推進協、物流課題調査へ検討会

 北海道で半導体関連産業の基盤強化を目指す「北海道半導体人材育成等推進協議会」は、関連する物流課題を調査するとともに、専門の検討会を設ける。秋ごろをメドに初会合を開き、年度内に現状の課題と対応策を整理する。18日、札幌市…

ヤマトオートワークス、事業者の最適稼働に貢献

 ヤマトオートワークス(金井宏芳社長、東京都中央区)は「稼働を止めない」を掲げ、物流・運送事業者のアセットの最適稼働に貢献している。整備計画や実績はデジタルデータで顧客と共有し、営業担当が顧客を月1回訪問して掛かったコス…

Share via
Copy link
Powered by Social Snap