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ホワイト物流 賛同の輪(19)/サカタ製作所、選んでもらえる荷主へ 業務改善で作業負担減

荷主

2021/11/02 15:06

 金属製屋根部品を製造販売するサカタ製作所(坂田匠社長、新潟県長岡市)では、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進、製品管理体制と輸送手段の再構築などを通じ、出荷体制の効率化を図っている。2024年4月からトラックドライバーに適用される時間外労働規制、慢性的な人手不足と高齢化に悩む物流業界の現状を踏まえ、運送事業者に選んでもらえる企業づくりを推し進める。(原田洋一)

 「どんなに良い製品を作っても、運んでもらわなくてはビジネスにならない。ドライバーに対して働きやすい環境づくりが荷主にも求められる」。ホワイト物流推進運動に賛同した坂田社長は「ものづくり」に携わる企業と物流の未来についてこう話す。
 同社では、午後3時半まで注文を受け付け、発注元への配送は翌日着を原則とする。受注から当日中に出荷する製品は全体の3割で、かつ正午以降に来るオーダーが1割を占めるため、これまでは定時を過ぎた午後6時まで発送作業をすることもあり、工程の改善を必要としていた。
 課題の解決に向け、社内システムとオンライン接続したタブレット(多機能携帯端末)を導入して商品のピッキング指示と検品作業の管理をペーパーレス化。出庫頻度の高い品物は自動倉庫システムがある保管スペースの外に平積みし、即座に取り出せるようにした。なお、重量のある金属製品を扱うため、早くからパレットとパレティーナを活用しており、手作業による荷役をほぼゼロにしている。
 これら取り組みの結果、検品が完了するまでの時間を41分短縮。加えて、荷役作業終了の目標時間を午後4時に設定することで、午後5時までには最後のトラックが構内を退出できるようになった。
 物流管理課の早川謙二課長は「発送業務の改善は、作業負担の軽減と同時に労働時間の短縮も実現した。社内目標である『残業ゼロ』の達成にも貢献している」と意義を強調する。今後は納品日の情報を細かく把握し、即応する必要がない製品は配送時間に余裕を持たせ、ドライバーが適切な休憩と運行時間を確保できるようリードタイムの最適化を目指す。
 22年1月には、中部、関西、中国、四国に向け商品を配送する岐阜県の物流拠点が稼働。気象条件や天災などで、新潟から関東方面へのルートに支障が生じた際はその運行を取りやめ、新拠点から代替輸送してドライバーの安全を確保する。九州の拠点と北海道への在庫補充用の配送については、輸送手段の一部をトラックから鉄道へモーダルシフトを行った。
 「働きやすい職場づくりで業績向上」をモットーに、労働環境の整備に力を注ぐ同社は、19年に日本次世代企業普及機構(岩元翔代表、大阪市北区)が選定する「ホワイト企業アワード最優秀賞」を受賞した。従業員本位の経営と好調な成績を維持する姿勢は、県内外から注目されている。


 ▼サカタ製作所 1951年、新潟県三条市で作業工具部品の製造会社として創業した建築金物メーカー。東京、大阪に営業拠点を置き、国内トップシェアの折板屋根用建築金具をはじめ、ソーラーパネルの取付金具などを生産・販売する。2019年ホワイト企業アワード最優秀賞受賞。21年経団連入会。売上高43億3603万円、資本金1320万円、従業員数151人(18年12月末時点)。


トラックドライバー不足に対応し、国民生活・産業活動に必要な物流を安定的に確保するためにスタートした「ホワイト物流推進運動」は、関係者が協力して改善を進めることでサプライチェーン(供給網)全体の生産性向上につながることが期待される。
運動の理念に賛同し、自主行動宣言を提出した荷主企業の取り組みを紹介する。
(「ホワイト物流」推進運動の加速を後押しするため、全文掲載しています)

ペーパーレス化による業務改善で荷役時間を短縮




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