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【金曜リポート】軽油高騰、事業者直撃 「走れば走るほど赤字」

調査

2021/10/29 0:01

日貨協連共同購入10月 大幅アップ懸念

 世界的な原油価格高騰による国内の軽油の値上げが、トラック事業者の経営を直撃している。軽油は2020年末まで値下がりしていたが、21年に入ってじわりと値上がりし、協同組合の共同購入の交渉では10月の価格で販売側が10円近いアップを求めてくることが懸念される。既に1㍑当たり154円のスタンド(SS)も出てきた。中小事業者からは「このままでは年間の燃料費が1億~1億3千万円増える」と悲鳴が上がっている。(北原秀紀、黒田秀男、佐々木健、上田慎二)

 世界的な原油急騰の背景には、欧州などで天然ガス価格高騰に伴い原油をガスの代わりに発電の燃料に使い出したことや、中東産油国で組織するOPEC(石油輸出国機構)とロシアが協調減産を継続していることがある。ニューヨークの原油市場では20日、WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)の価格が7年ぶりの高値を付けた。1㌦=114円台後半と3年11カ月ぶりの円安ドル高水準になっていることも、軽油高騰に拍車を掛ける。
 軽油の共同購入で販売業者4社と毎月価格交渉を行っている日本貨物運送協同組合連合会(吉野雅山会長)では、昨年12月から値上がりに転じ、今年に入ってから4月と8月にごくわずかに下がったものの、その他の月では連続して上昇。今月末に10月分の価格を決めるが、「大幅な値上げ攻勢が懸念される」(村田省蔵専務)と予測している。

国に支援措置求める声

 トラック事業者からは今月に入り、軽油高騰による経営への影響を心配する声が続出。保有車両35台で仙台や首都圏の長距離輸送をメインとする、末広運輸サービス(秋田県大仙市)の佐藤広徳社長は「軽油高騰は大きな打撃。走れば走るほど赤字だ」と話す。このままでは年間の燃料コストが1億~1億3千万円増えると試算。荷主との運賃交渉も「新型コロナウイルス禍で難しい。燃料価格の高騰を心配せずにサービスを提供できる仕組みを作って欲しい」と訴える。
 東京ユニオン物流(東京都武蔵村山市)の川崎和夫社長によると、最初に1㍑100円を超えたのは今年3月ごろで、値上がりが大きかった7月ごろにはインタンク(自家用タンク)で1㍑120円まで上昇した。最近では変動幅も落ち着いてきていたが、前年同月比で30円近い値上がりという。
 「数年前の高騰の時に比べて長距離運行を削減するなど改善を進めてきたので、燃料の使用量は減っている」としながらも、「運行距離の長い案件は、取引先にも燃料代分の割り増しをお願いせざるを得ない」と語る。
 一方、沖縄県で海上コンテナ貨物や重量物、雑貨などを扱っている小禄運輸(那覇市)の新垣正仙社長は「昨年秋と比べて軽油が高騰し、経営を圧迫し続けている」と悲痛な声を上げる。
 加えて、コンテナ不足による海上輸送コストの上昇などで県内の幅広い産業に暗い影を落としている。このため、「燃料高騰の運賃転嫁は切り出せないのが実情だ。これ以上のしわ寄せを防ぐためにも、国などは何らかの支援措置を打ち出して欲しい」と苦しい胸の内を打ち明ける。
 石油情報センターの調べによると、インタンクの軽油価格は20年2月まで100円台で推移していたが、その後1年程度二桁に下がり、21年3月から再び100円を突破。6月から110円台になっている。

1㍑当たり154円のSSも(東京都世田谷区)=一部画像処理




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