ホワイト物流 賛同の輪(14)/アークスG、拠点・発注時間を一元化 運送・卸業者と一体
荷主
2020/06/30 0:00
北海道や東北地方でスーパーマーケットを展開するアークスグループは、運送事業者、卸売業者などと一体となって、物流の改善に向けた取り組みを推進している。2021年6月には、同じエリアで展開するラルズ(猫宮一久社長、札幌市中央区)と東光ストア(楠美秀一社長、豊平区)の配送拠点や発注時間を一元化。関係者が一丸となって、現場の効率化や働きやすさを追求している。(土屋太朗)
【写真=ラルズの一部拠点では、東光ストアとの共配がスタート(北海道石狩市)】
同グループは、スーパーマーケットを中心とした事業会社9社で構成。以前から、各社で物流に対する取り組みを進めていたものの、労働力不足への対応や庫内作業の効率化を一層図っていく必要性から、2017年度にグループで物流改革の実現を目指すプロジェクトを設置した。担当者による会合を定期的に開き、各社の情報を共有。納品にかかるリードタイムの緩和や横持ち配送の負担軽減などをテーマに、物流事業者も交えた協議を進めている。
こうした中、国によるホワイト物流推進運動に着目。グループ各社の同意を得て、自主行動宣言を提出した。
プロジェクトでの協議を通じ、グループ各社の取り組みを横展開し、一元化していく必要性を確認。物流センターや店舗、運送会社の現場の声を正しく把握する重要性も高めた。
今後の大きな取り組みとして、「スーパーアークス」「ラルズマート」などを展開するラルズと、「東光ストア」を運営する東光ストアについて、商品マスターや発注単位・時間、拠点などを一元化する計画。両社は主な事業エリアが札幌近郊と重なっているため、同じ拠点で取り組むことで効果を打ち出す。
処理能力3倍に
来年6月をメドに、北広島市輪厚にある東光ストアの物流機能を、同市大曲のラルズの拠点に移す。ドライ食品が対象で、センターの中で仕分けや納品も手掛けるのに加え、配送時間を見直すことで、同拠点での処理能力を従来の3倍に高める。省人化を徹底するとともに、ドライバーの荷役作業を無くして、運送事業者の負担も減らす。
ラルズでは北広島市のほか、石狩市の拠点で生鮮品を取り扱うとともに、札幌市白石区では総菜のセンターを持つ。18年6月には、石狩市の拠点で日配品の配送も行うなど物流機能を高めたのに加え、東光ストアの一部生鮮品の共同配送もスタートさせた。更に、自主行動宣言には、女性や高齢者が働きやすいように、カゴ車の小型化やドーリー配送の推進のほか、運送契約の100%の書面化なども盛り込んだ。
アークスの松尾直人・執行役員兼ロジスティクスグループゼネラルマネジャーは「現場の話を聞くと、『そんなことも課題になっていたのか』ということが山のように出てくる。運送会社や卸売業者に丸投げするのではなく、店舗や物流センターを含め、全体が良くなるようにしていかなければならない。一方通行にならないよう、関係者で話し合える環境の整備が必要だ」と指摘。今後もグループ間やサプライチェーン(供給網)全体で連携を強めていく考えだ。
▼アークスグループ 北海道や東北地方を拠点とするスーパーマーケットを中心とした食品流通グループ。アークスを純粋持ち株会社とし、事業会社9社を傘下に置く。2月末時点のグループ店舗数は345店舗。2018年12月には、同業のバローホールディングス、リテールパートナーズと提携し、「新日本スーパーマーケット同盟」を発足させた。
トラックドライバー不足に対応し、国民生活・産業活動に必要な物流を安定的に確保するためにスタートした「ホワイト物流推進運動」は、関係者が協力して改善を進めることでサプライチェーン(供給網)全体の生産性向上につながることが期待される。
運動の理念に賛同し、自主行動宣言を提出した荷主企業の取り組みを紹介する。
(「ホワイト物流」推進運動の加速を後押しするため、全文掲載しています