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ホワイト物流 賛同の輪(10)/東洋テックス、ストックポイント拡大 「面の物流」へ転換めざす

荷主

2020/06/16 0:00

 床材メーカーの東洋テックス(小槌和志社長、高松市)は、ホワイト物流推進運動に賛同し、物流改善に取り組んでいる。鉄道輸送を拡大して2015年2月にエコレールマークの認定を受ける一方、5年ほど前から朝日通商(後藤耕司社長、同)とサードパーティー・ロジスティクス(3PL)契約を結び、物流業務全般を委託。今後は全国に3カ所にあるストックポイントの拡大も検討し、「点から点への物流」から「面の物流」への転換を推進する方針だ。(江藤和博)

【写真=トラックドライバー不足に対する危機感も強く(本社)】

 ジャカルタに拠点を持ち、熱帯雨林での植林を手掛けるほか、建築廃材を利用した木質繊維板の製造に取り組むなど地球環境に優しい事業を展開。また、コンプライアンス(法令順守)も強化しており、その一環で自主行動宣言を提出した。「入出荷情報の事前提供」「幹線輸送と集荷配送の分離」「付帯作業の分離」「モーダルシフト推進」を盛り込んでいる。

 鉄道コンテナの利用は今後も増やす方針だが、自然災害の多発で復旧までに時間がかかる上、床材の特性から現在の5㌧コンテナでは使い勝手が悪いのがネックだ。

 阿部圭司・取締役管理本部長は「長さ1.8㍍、幅30㌢の床材は、積載時はフォークリフトでうまくスライドさせて奥まで積めるが、下ろす時はリフトの爪が届かず手作業になる。このため、左右・後部が同時に開ける3方開きのコンテナを日本貨物鉄道(JR貨物)に要望中。これが実現したら鉄道輸送を更に増やしたい」と話す。

 輸送モード別の利用比率(出荷ベース)は、大型トラック・トレーラが52%、特別積合せ便は28%、JR貨物は10%、残りはユーザーによる引き取りや工場渡しだ。かつてJR貨物は15%のシェアがあったが、自然災害による運行休止などで現比率に減少。東北など遠隔地がトラック輸送にシフトした分、2マン運行などによるコストアップを強いられている。

運賃上げに前向き

 同社は全国に営業所を持たず、製品の発送は高松配送センター(同市)から行うのが基本。卸業者は人手不足から流通在庫を圧縮する傾向にあり、建設現場への直接搬入の要請が増えている。また、特別積合せ便では対応できない中ロットでの受注も多く、トラック・トレーラ輸送の比率が高い。そんな中、朝日通商との3PLにより物流改善に効果が出ている。
 阿部氏は「以前は担当者が配車に頭を悩ませていたが、今は受注情報を提供すれば朝日通商が納期をきちんと調整し、配車も組んでくれる。担当者の負担はずいぶん軽くなった」と話す。
 今後の課題は「面の物流」への転換。香川県からの製品発送が基本だが、現在は北海道、東北、埼玉県の物流事業者と提携し、現地にストックポイントを確保している。阿部氏は「製品の品質に加えて配送サービスも我々メーカーにとっては武器。ストックポイント設置でコストは増えるが、トータルでメリットがある。九州など中1日かかるエリアは、物流会社の中継基地を利用させてもらいつつ、ストックポイント設置を検討したい」としている。
 同社はドライバー不足に対する危機感も強く、物流会社からの運賃値上げ要請には前向きに応じてきた。その一方で、ユーザーに対しては、製品価格は上げたものの配送料金は据え置いた。サービスレベルを維持しながら、収益をどう確保するか。物流改善とともに重要な課題だ。


 ▼東洋テックス 1938年、前身となる東洋繊維化学工業所を設立、61年に現社名へ商号変更。62年、通商産業省(現経済産業省)から日本工業規格表示許可工場に指定され、63年に石膏ボードの製造販売を開始。94年には複合1種フローリングの生産販売をスタートし、床材メーカーとして本格参入した。2011年に高松配送センターを設置、12年には多度津工場を建設して品質管理の国際規格ISO9001の認証を取得。従業員数250人。19年7月期の売110億円。


トラックドライバー不足に対応し、国民生活・産業活動に必要な物流を安定的に確保するためにスタートした「ホワイト物流推進運動」は、関係者が協力して改善を進めることでサプライチェーン(供給網)全体の生産性向上につながることが期待される。
運動の理念に賛同し、自主行動宣言を提出した荷主企業の取り組みを紹介する。
※本紙2020年3月6日付掲載
(「ホワイト物流」推進運動の加速を後押しするため、全文掲載しています)





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