ホワイト物流 賛同の輪(5)/損保ジャパン日本興亜、主要拠点でパレット化 物流事業者の声聞き
荷主
2020/05/29 0:00
損害保険ジャパン日本興亜(西沢敬二社長、東京都新宿区)は、手積み手下ろしからパレット化へシフトするなどホワイト物流を推進している。保険証券やパンフレットなど取り扱う荷物は少なくなく、2018年度は主要拠点の平和島物流センターから100万個を超える荷物を発送した。顧客には運送事業者も多く、運送事業者のより良い経営の実現に向けて側面から支援する。(高橋朋宏)
【写真=平和島物流センターではパレット化を実現】
同社は2019年6月19日、損害保険業界で初めて、ホワイト物流推進運動に賛同し、「持続可能な物流の実現に向けた自主行動宣言」を国土交通省に提出した。
取り組みとしては、グループ会社も含め、大量輸送時に荷待ち時間や荷下ろし作業負担などの軽減に向けてパレットを活用した輸送を推進する。自主行動宣言の検討と前後して、印刷工場が併設する平和島物流センターでパレット化を実現した。
それまでは、書類などの荷物と隙間を埋める梱包資材を段ボールに詰めて包装し、手作業でトラックに積み込んでいた。
同社の社員が偶然、センター運営を委託している物流事業者の従業員から「パレット化すると楽になる」との声を聞き、早速検討。段ボールを使わずにパレットに積み、サイドをラップで巻いてフォークリフトで運搬する方法に変更した。作業時間が減っただけではなく省力化にもつながり、働き方が大きく改善された。
総務部の千葉敦之特命課長は「ホワイト物流の取り組みは始まったばかり。まずはできることからやっていく。ホワイト物流を推進する意識を全部署でいかに共有できるかが課題だ」と意欲を示す。
荷待ち減へ対策
荷役以外にも配送ルート・時間、荷待ち時間の有無などについてヒアリングを行い、改善に向けて取り組んでいく。
SOMPOビルマネジメント(松広清社長、同)印刷物流グループの森田尚人氏は「印刷工場で待機するトラックが多かったため、滞留しないようにA社は午後1時、B社は午後3時といったように振り分けをしている。ホワイト物流を実現するため、最適なオペレーションとなるよう検討を重ねていきたい」と話す。
同時に、運送事業者への業務委託時に法令順守状況をチェックしたり、働き方改革に取り組む物流事業者を積極活用したりと取り組みを進める方針だ。
▼損保ジャパン日本興亜 1888年創業の損害保険会社。2014年9月に損害保険ジャパンと日本興亜損害保険が合併して現体制となった。20年4月に「損害保険ジャパン」への社名変更を予定している。資本金は700億円。従業員数は2万6108人(3月末時点)。19年3月期の正味収入保険料は2兆1486億円。
トラックドライバー不足に対応し、国民生活・産業活動に必要な物流を安定的に確保するためにスタートした「ホワイト物流推進運動」は、関係者が協力して改善を進めることでサプライチェーン(供給網)全体の生産性向上につながることが期待される。
運動の理念に賛同し、自主行動宣言を提出した荷主企業の取り組みを紹介する。
※本紙2019年10月29日付掲載
(「ホワイト物流」推進運動の加速を後押しするため、全文掲載しています)