幸信商運、東北営業所を本格稼働 海上輸送需要の受け皿に
物流企業
2019/05/14 0:00
幸信商運(縄谷幸克社長、東京都中央区)は7日、東北営業所(仙台市宮城野区)を本格稼働させた。東日本大震災で壊滅的な被害を受けた仙台市蒲生北部地区の第1号復興プロジェクトで、ドライバー不足を背景に加速する海上輸送ニーズの受け皿を担う。 1万1700平方メートルの土地を取得し、2階建ての事務所棟(200平方メートル)と平屋建て倉庫(990平方メートル)を設置。関東と関西から海上輸送された水道管など重量物のピッキングと手直しを行い、協力会社がトラック10~15台を駆使して東北エリアに納入する。 仙台港を挟んで対岸に位置する旧営業所が手狭になったことから、野積み用スペース・シャシーヤードを2倍、事務所スペースは4倍、倉庫面積も1.5倍に拡張するとともに、倉庫はテントハウスを鉄骨造りにして新設移転した。投資額は土地と建物を合わせて6億5千万円程度。 更に、ドライバーと作業員の休憩施設を新たに設置するほか、既に2期の構想にも着手している。将来的には東北一円から貨物を集荷し、仙台港から国内外に海上輸送で供給するサービスも視野に入れている。 同社は時代の変化を先取りし、拠点の新増設に注力している。昨年は4月に鹿島営業所(茨城県神栖市)を新設移転させたのに続き、9月には千葉営業所(千葉県八街市)を開設。今後も鹿島営業所の2期を年内に竣工させるのに加え、九州への進出もにらむ。 また、北海道苫小牧市のあけぼの地区に保有する土地の有効活用もテーマに掲げる。国内の基盤整備が完了した段階で、東南アジアへの展開も検討していく意向だ。 宮越勉常務は「昨年10月に仙台市から土地を購入して今年2月に着工した。旧営業所はオープン翌日に東日本大震災に見舞われ、建物もトラックもフォークリフトも流された。あの時は被災から1カ月後の4月14日にシャシーのヤードを整備し、今回と同様に一番最初に業務を再開した」と振り返る。 また、「震災から8年が経過した今、こうして新たな船出を迎えたのは非常に感慨深いものがある。地元の運送事業者と連携し、東北経済の活性化に貢献していきたい」と話している。(沢田顕嗣) 【写真=野積み用スペース・シャシーヤードを2倍にするなど拡張】