富士倉庫、落花生選別工場を本稼働 高度な衛生基準クリア
物流企業
2019/04/26 0:00
富士倉庫(坂口雅彦社長、横浜市中区)は、横浜港本牧ふ頭(同区)に設置した落花生の選別工場を4月中旬から本格稼働させた。関連会社が保有する倉庫の一部分に、食品メーカーの高度な衛生・品質基準をクリアした選別ラインを導入。保税地域内で選別作業が行えるのが特徴で、物流と一体となった高付加価値サービスを菓子メーカー向けに提供。品質向上とともに物流コスト低減にもつなげていく。 本牧ふ頭D突堤にある倉庫の1階部分850平方メートルをクリーンルーム化し、選別ライン2本を設置。最新鋭の設備を導入して色や比重、サイズの選別を実施するほか、近赤外線及びエックス線、金属検知機による異物検査、割れやカビの有無のチェックなども行う。 工場内は空調完備で、壁・床面は防塵(ぼうじん)加工が施されるほか、エアシャワーを設置。虫が寄り付かないLED(発光ダイオード)照明を採用するなど、食品工場並みの衛生環境を整え、大手菓子メーカーが求める高い衛生・品質基準に対応している。 扱うのは、主に北米、南米から輸入され、菓子メーカーに納入される落花生。これまで手作業による選別が中心だったが、人手不足でパート従業員の確保が難しくなってきたことから機械化した。一層の人手不足に備えるとともに、衛生・品質面の更なるレベルアップを図り、商社や菓子メーカーのニーズに応える。また、倉庫内で選別作業が行えるため、輸入後に港湾から選別工場まで輸送する必要が無く、コストを省ける。投資額は約2億円。 2月から試験稼働を開始している。食品メーカーの視察が相次いでいることから、今後の物量増を見込み、5月以降は月間80トン以上を選別できる態勢を整える。 更に、選別工場がある倉庫の5階をセ氏5~15度の定温倉庫に改装。選別と保管・出荷をトータルで提供できるようにした。 このほか、本牧A突堤にある富士倉庫のA突事業所(中区)では4月から、コンテナ関係の入庫予定を表示する大型ディスプレーを採用。スケジュールをパソコンに入力すると画面上に表示され、営業マンと現場がリアルタイムに一目で情報共有できるようにしている。今後、他の拠点にも展開する予定。 坂口社長は「今後の一層の人手不足と、衛生・品質面に対するニーズの高まりを考え、選別の機械化・省力化などに取り組んできた。一方でこの10年、人材の確保・育成にも注力している。社員の平均年齢は34歳で、現場からの改善提案については投資が必要でも積極的に採用している」と話している。(吉田英行) 【写真=空調を完備し、食品工場並みの最新鋭設備を導入】