中田商事、サッカーと二足のわらじ 選手雇用し社会貢献 女性力活用を推進
物流企業
2019/04/23 0:00
【三重】中田商事(三重県伊賀市)の中田純一社長は7日、理事長を務めるNPO(非営利組織)法人で女子サッカーのクラブチームを立ち上げた。選手は中田商事や他の地元企業で働くことで生活基盤が安定し、企業側はフレッシュな労働力を確保できる。選手と企業、双方のメリットに加え、スポーツを通じた地域活性化などの社会貢献を目指す。(星野誠) 中田氏が創設した少年サッカーチーム「FCアヴェニーダソル」は、12歳以下のチームが三重県大会で優勝するなど、東海地区で屈指の強豪に成長。Jリーグクラブに入団した卒業生もいる。今回新たに立ち上げたのは、女子チームのアヴェニーダソル・レディース、愛称「イルミナル」で、中高生と社会人の選手15人でスタートした。 社会人選手は、伊賀市内の企業で働きながら、夕方から1日2時間、週5日サッカーの練習に打ち込む。19歳の木村詩音氏ら3人は、中田商事のグループ企業で人材派遣業を行うNSサービス(中田一平社長、伊賀市)に入社し、中田商事をはじめ、他の物流企業やメーカーなどの倉庫施設で働くことが内定。また、47歳の監督も同社に所属し、昼間は中田商事のドライバーとして働く。 木村氏は、小学1年生でサッカーを始めた。高校には女子サッカー部が無かったため、愛知県内のクラブチームに入り、試合以外は自身が通う高校の男子サッカー部で練習していた。高校卒業後も、スポーツ・医療関係の専門学校に通いながらサッカーを続けていたが、地元の伊賀市に新しい女子チームができると知って参加を決意した。 「働いて給料をもらいながら、好きなサッカーをやれるのがうれしい。物流というとトラックの印象が強く、倉庫の仕事はイメージが湧かなかったが、フォークリフトの資格を早く取りたい」と木村氏。現在は中田商事の倉庫でリフト操作の特訓中だが、指導している中田一平社長は「運動神経が抜群なので、とにかく飲み込みが早い。即戦力になってくれそう」と期待する。 木村氏のポジションはミッドフィールダー(MF)。身長は153センチと小柄だが、「スピードには自信がある。MFなら前後左右どこでもやれる」と胸を張る。国内女子トップリーグ「なでしこリーグ」の選手になることが木村氏の夢だ。一平氏は「サッカーはもちろん、仕事を通じて社会人としても成長して欲しい」とエールを送る。 中田商事にも今春、ドライバー2人、倉庫スタッフ、運営する保育園の保育士と調理師それぞれ1人の、計5人の新入社員が入社した。ドライバー採用のうち1人は純一氏の長男・一輝氏で、将来に向けた人材確保が順調に進んでいる。 純一社長は「中身が見えにくい物流とは違い、保育園やサッカーチームの運営は、地域の人々にとって分かりやすい。我が社の知名度と信頼性が上がり、労働力を確保しやすい環境になってきた。我が社は女性社員の比率が4割を超えるなど、女性力の活用を進めているが、サッカーチームもその延長線上にある。選手たちが仕事をしながら、サッカーで結果を出せるよう支援したい」と意気込む。 【写真=「フォークリフトの資格を早く取りたい」と木村氏】