佐川急便&JR北海道/客貨混載輸送、トラック運転時間34%減 稚内―幌延 タクシーとも連携
物流企業
2019/04/23 0:00
佐川急便(本村正秀社長、京都市南区)と北海道旅客鉄道(JR北海道)は18日、宅配便を列車で運ぶ客貨混載事業を本格的に始めた。佐川の稚内営業所(北海道稚内市)から宗谷線の稚内駅までトラックで運び、同駅から幌延駅までは列車で輸送。幌延町の各家庭まではタクシーを活用する。物流事業者と複数の旅客輸送会社による取り組みは全国初。トラックドライバーの運転時間削減に加え、旅客輸送会社の新たな収益源としても期待される。 客貨混載の事業区間は宗谷線・稚内駅―幌延駅の60キロ。平日のみの実施で、往路稚内駅午前10時27分発、復路は幌延駅午前10時56分発の列車を利用する。宅配便は1日当たり50~60個を見込んでおり、事業の実施に当たり、専用のボックスと、荷崩れを防ぐためのカバーも開発した。 佐川急便は幌延町での宅配について、2018年12月から地元タクシー会社の天塩ハイヤー(西沢利彦社長、幌延町)と連携。今回、稚内―幌延の輸送をJR北海道が担うことで、トラックドライバーの更なる負担軽減を図る。鉄道やタクシーの利用者数減少が進む中、JR北海道や天塩ハイヤーは旅客スペースの有効活用につなげる構え。佐川急便では、今後も客貨混載事業を推進する方針を示している。 なお、今回の取り組みは国土交通省が物流総合効率化法に定める総合効率化計画として認定。計画では、年間のトラックドライバーの運転時間を34%、二酸化炭素(CO2)排出量は83.6%、それぞれ減らす。 18日開いた出発式で、佐川急便の柴田和章取締役が「トラック輸送の品質維持には新たな輸送モードを開拓する必要があり、今回の取り組みにつながった。地元経済の活性化にも結び付けたい」とあいさつ。JR北海道の島典賢・取締役旭川支社長は「しっかりと連携し、事業を成功させる」と強調した。 北海道運輸局の大髙豪太局長は「ドライバー不足が深刻な中、特に広大な土地を持つ北海道では、物流事業者の努力だけでは対応が難しい。意義のある事業と期待したい」と語った。(土屋太朗) 【写真=旅客スペースを有効活用】