オタフクソース、レンタルパレットに変更 負担減最優先 共配で費用分吸収
荷主
2019/04/23 0:00
調味料メーカーのオタフクソース(佐々木直義社長、広島市西区)は1日から、製品輸送に用いるパレットを自社の木製のものからプラスチック製のレンタルパレットに全面変更した。作業効率の大幅アップとともに、衛生面や輸送の品質向上につながった。費用が発生するものの、物流パートナーの負担軽減を最優先。一方で、コスト上昇分を吸収するため、在庫適正化などの取り組みを推進した。物流業界で労働力不足や環境改善が叫ばれる中、荷主主体で改革を敢行した。 以前は、製品を運ぶのに1300ミリ×1100ミリサイズの木製自社パレットを使用していた。輸送先の食品卸会社や物流センターでは、物流パートナーの作業員が仕様の異なるプラスチック製パレットに積み替えており、物量によっては作業に2時間程度かかっていた。 また、空パレットをストックするスペースが必要な上、回収作業も負担となっていた。パレットの木片が梱包容器を破損させるほか、製品の包装に混入する可能性など衛生面での懸念もあった。 荷主としてもこの状況を受け止め、4年前にパレット変更を計画。自社製品の輸送先など食品流通の現場で多く使われている、日本パレットレンタル(JPR、加納尚美社長、東京都千代田区)のプラスチック製11型パレットを採用した。 計画から導入まで時間を要した背景には、数々の障害があった。レンタルのランニングコストが掛かるほか、パレットのサイズダウンにより積載率が低下。更に、工場の出荷レーン改築にも多くの費用が必要だった。 それでも、物流パートナーの負担軽減を最優先。行楽シーズンの繁忙期が迫った3月下旬、工場の稼働を7日間ストップさせ、出荷レーン設備をレンタルパレットのサイズに合わせる改修工事を行った。 重なるコスト上昇分を吸収するため、共同配送の比率を高めるほか、関東・中部・関西・九州にある各物流センター向けトラックの目標積載率を98%以上に定め、ほとんどで達成している。 また、在庫の必要性を再認識し、一部の物流センターで製品の保管スペースを大幅に拡大。一方で、適正在庫を見直し、出荷までの滞在日数を以前より20%近く短くする目標を掲げた。更に、営業サイドも巻き込んで、原則的な出荷ロットの最低値を決めるなど多面的な方策を講じながら、効率化とコストダウンの両立を図った。 ロジスティクス部の小田孝広部長は「パレットを物流トレンドの仕様に合わせなくては、運んでもらえなくなっている。運賃値上げに加えて2重のコスト増となったが、企業努力を惜しんでいてはメーカーの供給責任を果たせない」と強調。更に、「荷主が選ばれる時代に入ったが、同時に、荷主も運び続けることができる物流企業を選ばなくてはならない」と話している。(矢野孝明)【写真=変更に合わせ、工場の稼働を止めて出荷レーンを改築】