NEDO&南相馬市/協定締結、ロボット関連人材育成へ 物流ドローン活躍むけ
産業
2019/04/16 0:00
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO、石塚博昭理事長)と福島県南相馬市は10日、福島ロボットテストフィールド(福島RTF、福島県南相馬市)などを活用した、ドローン(小型無人機)や配送ロボットといったロボット関連のプロジェクトに関わる人材育成に関する協力協定を締結した。NEDOは協定締結を起爆剤に、物流ドローンなどが活躍できる社会の実現に向け、福島RTFでの実証・試験を加速していく方針だ。 同日、東京都で締結式が開かれ、NEDOの石塚理事長と、南相馬市の門間和夫市長が協定書に署名した。協定は福島RTFを活用したロボット関連人材の育成に加え、両者が関与するロボット関連プロジェクトに関する協力・支援を行っていく。協定締結後、石塚氏が「ロボットやドローンが活躍する社会の実現に向け、取り組みを推進していく」とコメント。門間氏は「福島RTFには、東日本大震災からの復興の起爆剤として期待を掛けており、設備に加えてソフト面の充実も図り、日本一の施設にしたい」と抱負を述べた。 NEDOは、2017年度に開始した「ロボット・ドローンが活躍する省エネルギー社会の実現(DRESS)プロジェクト」で、陸海空のフィールドロボットの適用分野ごとに必要な性能の評価軸と、それに沿った性能レベル、測定するための試験方法などの研究開発に基づき「ロボット性能評価手順書」を18年に策定。福島RTFでは、各種ロボットの性能評価を実施しているほか、評価手順書の利用促進に向け人材育成講座を実施してきた。 DRESSプロジェクトでは、17年1月にドローンによる航続12キロの長距離荷物輸送、18年11月にドローンと有人機の同一空域飛行での視認性検証、更に19年3月には、物流、郵便などの利用シーンを想定し、15分間に同一空域を計10機のドローンが目視外自律飛行する運航管理システムの実証を福島RTFで行ってきた。 協定締結により、ドローンの社会実装に向けた取り組みを更に加速させる方針で、ドローンと有人ヘリコプターの衝突を自動回避する飛行実験を19年度中に計画。また、国内外のドローン事業者が福島RTFで試験を実施できるよう運航管理システムのAPI(プログラムからソフトウェアを操作するためのインターフェース)を順次公開する予定だ。 NEDOは、福島RTFを舞台に技術の検証・活用、国際標準化の提案などを推進することで、「多くの物流ドローンが都市部で飛行」「有人ヘリコプターなどと同一空域で安全に飛行」できる社会の実現を目指していく。(田中信也) 【写真=NEDOの石塚理事長(左)と、南相馬市の門間市長が協定書に署名後、握手を交わす】