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関東西部運輸、事業許可取り消し 送検・処分相次ぎ 改善注力も好転せず

物流企業

2019/04/12 0:00

 約1年半で2度の書類送検、2度の行政処分を受けた関東西部運輸(田口哲士社長、千葉県野田市)に対し、関東運輸局は8日、乗務時間の順守違反などにより、22日付で一般貨物自動車運送事業の許可を取り消す、と発表した。17年5月の書類送検以降、労働時間短縮に向け各種改善に努めたものの、状況は好転しなかった。事業許可を取り消されると、2年間、事業に参入できなくなる。同社は400台以上の車両を保有しており、元請け、荷主企業への影響は避けられない。(井内亨、中西祥梧)  関運局は1月17、23の両日、同社本社営業所に対して監査を実施。その結果、①乗務時間等告示の順守違反②点呼の実施義務違反等③運行指示書の記載事項義務違反④運転者に対する指導監督違反⑤事業計画事前届け出違反――が確認された。違反点数は、今回10点が付与され、累積で83点。関運局管内の累積違反点数が81点以上となったため、事業許可取り消しとなった。  最初の書類送検は17年5月。1カ月当たり最長246時間の違法な時間外労働を行わせたとして、千葉県の柏労働基準監督署から書類送検された。当時、同社はデジタルタコグラフの全車導入推進と、デジタコデータを活用した指導・研修や時間管理の徹底に努める考えを示していたが、11月に2度目の書類送検となった。  その後、労働時間短縮に努めたものの、会社への不安を感じ、退職するドライバーが続出。状況は改善されず、関運局から18年7月、一般貨物自動車運送事業の30日間事業停止、車両使用停止50日車の処分が出された。  更に、5カ月後の12月には、事業停止処分期間中に他の営業所で法令違反があったとして、同局管内における全7支店・営業所が3日間の事業停止処分を受けた。  関運局の掛江浩一郎局長は、同年12月の定例会見で「悪質と言わざるを得ない」と遺憾の意を示した。一方、親会社である西部運輸の担当者は、当時の本紙取材に対して「拘束時間293時間を下回るメドは立っている」と強調。半面、ドライバーの退職に歯止めが掛からず、業界全体の人手不足も相まって「負のスパイラルに陥っている」と嘆いていた。  西部運輸グループは、事業許可取り消し処分が出される以前に、九州西部運輸(福岡県小郡市)の千葉支店として、関東西部運輸本社敷地内に事業所を開設。更に、関東西部運輸の事業廃止の届け出と、同社支店を東海西部運輸(愛知県一宮市)の支店とする認可を求めるための申請を行ったが、4月8日時点で未認可となっている。西部運輸の担当者は「一応、結果を待つ」としているものの、状況は厳しいとみられる。一方、九州西部運輸千葉支店は開設認可が下り、現在は「車両6、7台で運営している」という。 【写真=車両400台以上を保有しており、元請け、荷主企業への影響は避けられない(本社)】





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