大広、名古屋市とドローン協定 災害時に情報提供 要救護者の発見など
産業
2019/04/09 0:00
【愛知】名古屋市は3月26日、愛知県内でドローン(小型無人機)操縦士の教育施設を運営する4社と、災害時にドローンを使った情報提供を行う無人航空機の運用協定を交わした。物流企業からは、ドローン事業部を置く大広(安井茂社長、名古屋市西区)が参加。被害状況の把握や要救護者の発見などで支援する体制を築いていく。(梅本誠治) 名古屋市では、災害対応を迅速かつ効率的に進めるため、初動での情報収集が有効との観点からドローンの運用を推進。2018年に1機購入し、災害対策本部室を起点として16の区役所の屋上から離発着実験を行うとともに、周辺の景色を撮影して有事に備えている。 また、消防局ではより実践的な活動が行える機体2機を導入。これと併せ、今後は全区に各1機を配備し、市内全域でドローンを運用できるよう計画する。 締結式で、名古屋市の酒井康宏・防災危機管理局長は「南海トラフ巨大地震が30年以内に発生する確率は70~80%との推測もある中、当市でも危機に備えてドローンを配備し操縦士2人を育成したが、十分とは言えない。ドローンは、刻一刻と変化する災害現場の確認など、活躍の場が多い。この協定で、有事の際はドローンによる支援の輪が広がることを期待している」と話した。 Drone School Japanを全国展開するDSA(愛知県春日井市)の梅原丈嗣社長は「災害時には1分1秒でも早い被災者の発見が重要で、ドローンはその点で効果が高い。ドローン操縦士を養成する立場として、平素から訓練を重ね、常に出動できるよう備えているので、万一の際はすぐに声を掛けて欲しい」と応えた。 大広では物流事業を行う傍ら、18年にドローン事業部を立ち上げ、操縦士養成スクール「Japan Drone College」を運営。空撮や測量といった分野にも事業を展開し、若者の興味を引くことで人材確保を目指す。加えて、高齢のトラックドライバーがドローン操縦士になるといった新たな雇用創出も視野に入れる。 操縦士の資格を取得して事業を推進する安井社長は「最終的には、ドローンを使った配送など、物流分野への展開を目指しているが、今回の協定も非常に有意義な取り組み。積極的に協力し、市民に役立てるよう準備を進めたい」と語った。 【写真=記念撮影に臨む名古屋市の酒井・防災危機管理局長(中央)と安井社長(その右)ら】