取引労働改善和歌山協、運転者の拘束時間87%減 海上輸送転換 規模拡大には課題 5~25%コスト引き下げ
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2019/04/05 0:00
【和歌山】トラック輸送における取引環境・労働時間改善和歌山県地方協議会(辻本勝久座長、和歌山大学教授)は3月19日、会合を開き、陸上から海上輸送にモーダルシフトすることでドライバーの拘束時間を大幅に削減できる効果を確認した。(渡辺弘雄) 2018年度のコンサルティング事業として取り組んだ島精機製作所と三菱電機冷熱システム製作所(和歌山市)の実証実験では、和歌山港から神戸港までの陸上輸送を内航海運に切り換えた結果、ドライバーの拘束時間を87.5%削減する成果を上げた。 いずれもドライバーの拘束時間は、これまで8時間(往復)を要していたが、モーダルシフトによって1時間まで短縮。コスト面では、発荷主の貨物量や海外仕向け地などの要因で費用が変化するものの、5~25%程度引き下げる成果を生んだ。 また、今回の実験では40フィートコンテナ2個の規模だが、三菱電機の大阪港や神戸港への陸上輸送が年間1万個に上るため、本格的なモーダルシフト導入を図れば、労働時間削減及びボリュームディスカウントによるコストダウンの両面で、多大な効果が望める見通しを示した。 実験の対象については、既存の運送事業者の仕事量が減らないよう新規貨物に限定。規模拡大には、別の業務への振り替えなど、どこまで補てんできるかが課題となった。 19年度の取り組みでは、ホワイト物流推進運動に沿って物流事業者と荷主企業の連携・協力、県民の理解と協力を促していく。 和歌山県トラック協会の阪本享三会長は「手待ち時間の短縮は、コストアップに神経をとがらせる中小荷主が多く、具体的な対策が見いだせていない。人手不足対策、労働時間短縮は我々だけでなく、荷主も困っている。輸送を効率化するとドライバーの収入減になってしまうのも問題だ」と実情を訴えた。 【写真=物流事業者と荷主企業の連携・協力、県民の理解と協力を促す】