物流連、ホワイト物流運動に参画 働き方改革 「業界全体の課題」
団体
2019/04/05 0:00
日本物流団体連合会(田村修二会長)は、政府がトラック輸送の取引環境・労働時間改善などを目指して展開するホワイト物流推進運動について「(運動の趣旨である)働き方改革は物流業界全体の課題」との認識に立ち、運動に参画し、推進に協力していく。 3月28日の理事会で承認した2019年度の事業計画で、労働力不足対策や物流の生産性向上を目指した新たな取り組みとして決定した。 政府のホワイト物流推進会議のメンバーを務める田村会長は、理事会後の記者会見で「ホワイト物流は、政府が働き方改革の一環として展開しており、ドライバー不足が深刻化するトラック運送業界を対象とした運動だが、労働力不足は物流業界共通の課題でもある」として、全体の改善につなげられるよう協力する姿勢を示した。 推進に当たっては「物流事業者単独では解決できない生産性向上といった課題の解決に向け、荷主企業の理解・協力はもちろん、強いコミットメントが必要」と強調。トラックの積載率向上や手積み荷役の解消、ユニットロード化の推進といった取り組みへの関与を求めていくため、加盟団体とその傘下企業、国土交通省など関係省庁と連携し、啓発・周知活動を展開していく方針だ。更に、田村氏は「物流危機の意識が世の中に浸透している今こそ、荷主との取引条件を改善し、新しい物流を目指したい」と力を込めた。 また、取引環境と労働時間の改善に向けては、国交、厚生労働両省によるトラック輸送における取引環境・労働時間改善中央協議会に与田俊和理事長が引き続きメンバーとして参加し、取り組みを推進していく。 更に、20年の東京オリンピック・パラリンピック対策では、輸送問題に関する情報収集や影響の把握に努め、加盟団体などへの周知を図っていく。物流各界のトップクラスによる大学寄付講座は青山学院大学、首都大学東京、横浜国立大学の3校で開催し、物流業界に従事する若手人材の底上げに向け、新たに加盟企業・団体の30歳以下の社員にも開放する。 事業計画ではこのほか、働き方改革・生産性向上のための施策を啓発するため、テレワークやシニア層の活躍、ユニットロード化の取り組みなどを盛り込んだ。人材育成に向けては、物流業界インターンシップを行うとともに、物流業界研究セミナーを開催。国際展開では、インド南部とスリランカで物流調査を実施するほか、日本の小口保冷配送サービス基準を基にしたPAS1018のISO(国際標準規格)化の取り組みに引き続き参画する。(田中信也)