宅配大手、EV導入本格化 ヤマト オリジナル車を開発 日本郵便 20年度末までに1200台 小型商用車の電動化進む
物流企業
2019/04/02 0:00
宅配便大手が電気自動車(EV)を大量導入へ――。ヤマト運輸(長尾裕社長、東京都中央区)は3月27日、ドイツポストDHLグループのストリートスクーター(STS、アヒム・カムカCEO=最高経営責任者、ドイツ・アーヘン)と宅配に特化した小型商用EVトラックを共同開発する契約を締結し、2019年度中に500台を導入する、と発表した。また、日本郵便(横山邦男社長、千代田区)は26日、郵便物や宅配便の配送に使用する軽貨物車1200台を2020年度末までにEVに切り替えることを発表。宅配便シェア1位と3位の両社がEVの導入を本格化させることで、商用車の電動化が進みそうだ。(高橋朋宏、田中信也) ヤマト運輸がSTSと共同開発する車両は、宅配に特化した日本初の小型商用電気トラックで、今秋から首都圏で順次稼働させる。同社がオリジナル車両を開発するのは、1982年のウォークスルー車以来となる。 車両スペックは全長4.7メートル、全幅1.83メートル、全高2.25メートル、車両重量2850キロ、最大積載量600キロ。 人間工学を追求して運転時・乗降時の体への負担を軽減。運転席への乗り降りがスムーズになるよう設計した。荷台は三方開きで、荷台に乗り込まず荷扱いできるため、腰への負担は小さい。また、小型ワンボックスや普通乗用車に近い車両サイズで回転半径は小さく、扱いやすさと安全性を担保。中型自動車免許を取得していない人や業務に慣れていない人でも安心して働けるようなデザインにした。環境負荷や騒音の低減にも貢献する。 更に、動力を切ると自動的にパーキングモードに入る機能を搭載し、自走事故を抑止。クラウドでリアルタイムに運転状況や故障などの情報を取得でき、安全性の向上も実現した。 また、EVはディーゼル車と比べてメンテナンス工程がシンプルで、費用を削減できる。 20年度以降の導入計画は未定。今後は先端技術との親和性の高さを生かし、自動運転や人工知能(AI)の搭載も検討していく。 長尾社長は「宅急便のラストワンマイルネットワークを持続可能なものに再構築する過程の中で、働き手の立場に立った集配車両の開発は大きな課題だった。STSとの出合いは当社にとってエキサイティングで、両社合同チームで課題解決に向けた第一歩を踏み出せることに大きな期待を持っている」とコメント。 カムカCEOは「今回のヤマトとの戦略的協力は日本のEV市場への重要な足掛かりとなった」としている。 一方、日本郵便は、東京都を中心とする近距離エリアでの郵便物、ゆうパックの配送時に使用する軽四輪自動車を、ガソリン車から三菱自動車の「ミニキャブ」「ミーブバン」に順次切り替えていく。導入時期は11月に200台、20年2月に200台、同年4月以降には800台を想定している。 同社は13年度にEV40台を試行的に導入し、環境面での効果や業務上の実用性、効率性など様々な角度から検証を行ってきた。その結果を踏まえ、計画的なEVへの切り替えを開始する、としている。 【写真=ヤマトオリジナル小型EVトラックのイメージ】