九州ブロック食料品部会、市場から目背けず改善を 全体交流会 輸送の課題解決へ
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2019/03/29 0:00
【福岡】九州各県トラック協会の食料品、青果物、定温輸送の部会で組織する九州ブロック食料品部会(黒木建一部会長)の全体交流会が8日、福岡市で開かれた。改正貨物自動車運送事業法や働き方改革関連法について、荷主対策の深度化や改善基準告示の見直しで活発な議論があった。(武原顕) 国土交通省自動車局貨物課の平嶋隆司課長が改正貨物事業法の概要について、厚生労働省労働基準局労働条件政策課の高橋亮課長補佐は時間外労働の罰則付き上限規制について、それぞれ説明した。 講演後の質疑では、トラック事業者から改正貨物事業法の荷主勧告制度の強化に関連し、「荷主対策の深度化が盛り込まれているが、着荷主への実効性はあるのか」との質問があった。 平嶋氏は「着荷主も対象になるが、複数荷主で着時間の指定が分かりづらい実態もある。全体としての対応が必要」と答えた。また、標準的運賃の告示制度の導入にも言及し、「トラック事業者の決算データ、運行データなどを規模、地域で細かく分析し、分かりやすい、使いやすい制度にしたい。一定の時間が必要だが、残された時間の中で早くしたい」と述べた。 青果物、生鮮品を中心とした大都市圏への長距離輸送は、改善基準告示の順守が困難なのが実情で、トラック事業者から「制度自体が現実と乖離(かいり)している」との声もあるのが実態。これを踏まえ、トラック事業者から「改善基準告示違反が顕著な市場(公設)から目を背けず、行政が主体的に改善指導に乗り出すべき。九州のJA、市場関係者らと話し合う場を設ける一方、もう一度、市場を対象にしたパイロット事業も必要では」と問題提起が行われた。 衆参両院の付帯決議に基づく、改善基準告示の見直しについては「九州の地域の実情を反映して欲しい」と訴えた。そのほか、時間外労働の罰則付き上限規制の解釈、年次有給休暇(5日)の義務化と社内における指定休日の消化との関係性を確認した。 最後に、「トラック運送事業者に対する規制が厳しいため、『やってられない』と退社するドライバーが増えている。行き過ぎた規制は、白トラ行為を助長しかねない。働き方改革で賃金を下げるわけにはいかない。外国人雇用を考えるよりも、ドライバーの離職問題を解決すべき」と厳しい声が相次いだ。 【写真=新たな法改正に関する質問が相次ぐ】