経産・国交省、「置き配」普及むけ検討会 盗難リスクなど課題整理 今夏 事例と対策まとめ
行政
2019/03/29 0:00
経済産業、国土交通の両省は、非対面で玄関先などに配達する「置き配」サービスの普及に向けた周知や、関係業界の意識醸成のため、今夏にも盗難のリスクや補償といった課題を整理し、事例集とともに対策を取りまとめる。25日に通販・宅配事業者で構成する検討会を立ち上げ、協議を開始した。(田中信也) 利用者があらかじめ指定する場所に荷物を届ける「置き配」は、多様な受け取り方法の一つとして、通販商品の宅配などで広がりつつあるが、盗難リスクや補償などの面で懸念の声が少なくない。 また、両省が宅配、EC(電子商取引)の両事業者の連携に向けて2018年5月に発足させた「宅配事業とEC事業の生産性向上連絡会」でも、多様な受け取り方法の推進に向けた課題の一つとして、置き配の実施に向けた環境整備が挙がっていた。 こうした状況を踏まえ、置き配サービスの実施に際しての課題を整理し、関係省庁や業界がそれぞれ取り得る対応策を検討するとともに、広く一般に周知することなどを目的に同連絡会を母体とする形で検討会を新設した。 メンバーは、通販事業者からアスクル、アマゾンジャパン(ジャスパー・チャン社長、東京都目黒区)、オルビス(小林琢磨社長、品川区)、ZOZO、楽天、ファンケルが参加。これに宅配事業者の佐川急便(荒木秀夫社長、京都市南区)、日本郵便(横山邦男社長、東京都千代田区)、丸和運輸機関と、宅配ボックスメーカーのナスタ(笹川順平社長、港区)、置き配用バッグを開発したYper(イーパー、内山智晴社長、渋谷区)も加わる。 初会合では、インターネットモニターを対象に国交省が実施した再配達に関するアンケートのうち、置き配に関する結果を説明。置き配サービスの「認知度」は46%と一定程度あったものの、「利用しても良い」との回答は37%で、同省総合政策局物流政策課は「あまり高くない」と指摘。 安心して利用できる環境の整備に向け、特に「盗難時の通販・宅配事業者の迅速な対応」「盗難にあった場合の損害保険の利用」といった対策を求めている、とした。 また、置き配を試行的に実施している日本郵便、アマゾンジャパンが取り組み事例を報告。日本郵便は、Yperと共同で18年12月、東京都杉並区で実証実験を行った結果、「再配達を大幅に削減し、モニターの過半数が満足度80点以上(百点満点)の高評価だった」ことを紹介した。 一方で、課題として①認知度・利便性の向上②社会受容性向上に向けた荷受人・荷送り人の理解③盗難のリスク対策④利用可能な場所の拡大――を抽出した。 意見交換でも、認知度向上や盗難・補償リスクへの対策の必要性を求める意見が上がった。検討会は6月末までに3回程度開催し、ゲストスピーカーによるプレゼンテーションも踏まえて課題を整理。検討結果と事例集を取りまとめ、公表する予定だ。 【写真=通販・宅配事業者で構成する検討会を立ち上げ、協議を開始】