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ジャパンドローン、固定・回転翼併用型を公開 水平なまま配達可能 海外勢との討議も

産業

2019/03/19 0:00

 日本UAS産業振興協議会(JUIDA、鈴木真二理事長)などが主催するドローン(小型無人機)の国際展示会・カンファレンス「ジャパン・ドローン」が13~15日、幕張メッセ(千葉市美浜区)で開催された。展示会では、固定翼機(VTOL)タイプの物流用ドローンが展示され、カンファレンスでは空飛ぶクルマの開発、市場の在り方など最新の情報・動向が紹介された。(田中信也)  展示会には、機体、応用サービスなどを手掛けるメーカー、ベンダー(供給者)、研究機関など過去最多222の企業・団体が出展。エアロネクスト(田路圭輔社長、東京都渋谷区)は、航続性能に優れた固定翼機タイプながら、ピンポイントでの着陸が可能なマルチコプターの性能を兼ね備えた物流用ドローン「Next VTOL」を公開した。  マルチコプターに比べ離着陸性能に劣る固定翼機の欠点を補うため、離着陸時は回転翼でランディング。巡航時は固定翼機として飛行するため、航続距離がマルチコプターの3倍、予定最高時速は80キロで、長距離輸送にも対応できる、としている。搭載した荷物は飛行形態によって角度や位置を変更し、水平を保ったまま配達することが可能。既に飛行実験に成功しており、荷物を平行に保つ装置の実験を年内に実施する予定だ。  一方、マルチコプタータイプでは、先行開発中の宅配専用ドローン「Next DELIVERY」の試作機を展示。農業機械メーカーの小橋工業(小橋正次郎社長、岡山市南区)と業務提携し、2020年4月の市販開始を目指してマイナーチェンジした。  また、日本無人機運行管理コンソーシアム(JUTM、鈴木代表)は、福島ロボットテストフィールド(福島RTF、福島県南相馬市)で行った複数機での目視外かつ補助者無しの実験について紹介。五光物流(小林章三郎社長、茨城県筑西市)は、JUIDA認定の「つくばドローンスクール」をPRした。  海外からドローンの第一人者を招いて行われた国際カンファレンスでは、米キティ・ホークでアーバンエアモビリティー(UAM)市場を担当するトム・グナーソン氏、仏エアバスのアジア太平洋地域UAM責任者のデレク・チェン氏が、それぞれ空飛ぶクルマの開発状況と可能性について講演。両氏は「人の輸送のみならず、貨物も含め全ての輸送モードが統合したマルチコプターの在り方を検討すべき」と強調した。  このほか、JUIDAの鈴木理事長をモデレーターに、グナーソン氏や世界経済フォーラムのドローン分野担当のティモシー・ロイター氏、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の次世代航空イノベーションハブ研究領域主幹の原田賢哉氏らをパネリストに迎え、パネルディスカッションを実施。ロイター氏は、世界初のドローン配達網であるルワンダでの血液輸送の水平展開に向けた規制モデル構築の取り組みを紹介した。  更に、ドローンの専門家によるセミナーも行われ、ブルーイノベーション(東京都文京区)の熊田貴之社長が、今秋に提供予定の物流用ドローンポート「BIポート」と、BIポートを機軸とするクラウドモビリティー構想を披露した。 【写真=エアロネクストはNext VTOL(右)とNext DELIVERYを展示】





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