伊井運輸、石油化学品3PL拡大 三重・四日市に 危険物倉庫を増設 ローリー輸送と2本柱
物流企業
2019/03/12 0:00
【三重】伊井運輸(三重県川越町)の伊井雅春社長は2月28日、来期の経営戦略を明らかにした。新倉庫施設とウィング車を活用した、石油化学製品のサードパーティー・ロジスティクス(3PL)を更に拡大し、主力のタンクローリー輸送と合わせて事業の2本柱に据える考えだ。(星野誠) タンクローリー車52台を保有し、潤滑油などの石油製品輸送を手掛ける。一方、石油化学製品である半導体洗浄液の保管と輸送も以前から行ってきたが、これまで物量は多くなかった。伊井氏は「27年前にトラック1台でスタートし、細々とやってきた洗浄液の仕事を、本格的に拡大しようと思った。季節によって波がある潤滑油と比べ、洗浄液の物量は通年で安定している」と話す。 国道23号に近い四日市市内の敷地2千平方メートルには、延べ床面積400平方メートルの自社倉庫と荷主企業の事務所がある。ここに、450平方メートルの危険物倉庫を増設し、1月8日から本稼働させた。庫内はセ氏5度、20度、常温の3室に分かれ、ステンレス容器入り、段ボール箱入り瓶詰めなど、異なる荷姿の半導体洗浄液をそれぞれ厳重に温度管理している。 倉庫増設では、中小企業庁の「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」を活用。申請に必要な、中部運輸局と自治体の認可も得た。伊井氏は「手続きは大変だった。今後5年間は事業報告を求められ、会計検査院のチェックも受けることになるが、補助金が出たのは大きい」と明かす。 荷主の阿蘇工場(熊本県阿蘇市)と郡山工場(福島県郡山市)から、洗浄液を自社倉庫に輸送。温度管理を行った上で、四日市市内の大手電子部品メーカーに納入する。車両も、パワーゲート付き6トン冷蔵ウィング車4台を揃え、輸送体制も大幅に強化した。 伊井氏は「我が社では、自社工場で自動車整備事業も行っているが、輸送事業の柱は潤滑油のローリー輸送だけだった。今後は荷主の要望に応えながら半導体洗浄液の仕事を増やし、もう一つの柱にしていけたら」と意気込む。 【写真=温度帯管理が可能な危険物倉庫を増設】