日通/5カ年の新中計、HD移行し機能別再編 M&A駆使し売り上げ増 フォワーディング強化
物流企業
2019/03/01 0:00
日本通運は2月22日、創立100周年の2037年までの新たな長期ビジョンと、5カ年の中期経営計画を発表し、世界のメジャーフォワーダーに対抗できるグローバルロジスティクスカンパニーを目指す方針を打ち出した。ホールディングス(HD)制の導入でガバナンスを強化し、フォワーディング事業などでM&A(合併・買収)を駆使して「非連続な成長戦略」による売り上げの増加を加速。37年までにグループ売上高4兆円、海外売上高比率50%の達成を目指す。(佐々木健) 成長戦略では顧客(産業)・事業・エリアの3軸を中心に展開。顧客軸では、自動車、IoT(モノのインターネット)などの電器・電子産業、医薬品、欧州のハイファッションなどのアパレル、半導体などを重点産業としてプラットフォームを構築していく。 事業軸では、フォワーディングへの対応を強化。これまでの主力事業だった航空輸送から、国際輸送のベースカーゴである海上輸送にシフトする方針を示し、取り扱い輸送量の目標値を提示した。18年度の予想量として、海上輸送67万TEU(20フィートコンテナ換算)、航空輸送91万トンだったものを、中計の中間年である21年度までにそれぞれ100万TEU、120万トンに、37年度には200万TEU、200万トンに拡大させたいとしている。 エリア軸では、日本のほか、欧州、米州、南アジア・オセアニア、東アジアの各地域で特性に応じた戦略を展開。特に、日本を非連続な成長を支える投資原資の根幹と位置付け、収益性の向上を前提にした拡大を進めていく。 同日開いた説明会で、斎藤充社長は「世界でのメジャーフォワーダーと互していく存在になる。これまで航空貨物重視だったが、海上貨物は各地の周辺業務を含めたロジスティクスに広がる核になる。国内セグメントでは収益性を重視し、事業ポートフォリオを見直す。営業の目標数値は控えめだが、背後と水面下では色々な動きがある。利益の減少もあるが、将来に向けた先行投資だ」と強調した。 更に、HD制への移行について、「可能なら、新中計の期間中に移行したい。今は日通が上にドンと乗り、下に各社がある形だが、HDで機能別にグループを再編すれば効率的になる。ペリカン便を切り離した段階で、日通グループはユニバーサルサービスの展開と、別の道を進んでいる。機能やサービスに応じた人員配置が必要だ」と説明した。 【写真=海外フォワーダーへの対抗方針とHD導入について話す斎藤社長】