ヤマトHD社長に長尾氏 新布陣で次の100年 経営資源を最適配置
物流企業
2019/02/26 0:00
ヤマトホールディングス(YHD)は21日、新社長にヤマト運輸(東京都中央区)の長尾裕社長(53)が4月1日付で就任することを発表した。長尾氏は、アマゾンなど大口顧客とのプライシング適正化を推進するなど収益改善に大きく貢献。採算性を踏まえたサービス提供能力の拡大を念頭に置いており、「攻めの姿勢」が持ち味だ。今年迎える創業100周年と次の100年への土台づくりに新しい布陣で臨む。 YHDの山内雅喜社長(58)は代表権の無い会長に就く。同日開いた会見で、山内氏は長尾氏について「宅急便の大口荷主とのプライシングの適正化や、午後の配送に特化するアンカーキャストを配置するなど、構想力と実行力がある」と評価した上で、「ヤマトのDNAをしっかりと受け継いでくれると確信している」と述べた。 また、「この4月で交代することで次の100年(101年目となる2020年)をトップギアで迎え、スピード感を持って持続的に成長することができる」と説明した。 長尾氏は「身の引き締まる思い。創業100周年という大切なタイミングでバトンを受け取ったという重みを感じていると同時に、ヤマトグループをどのようにけん引していくかという期待感と責任の重さを改めて痛切に感じている」と述べた。 ヤマトのDNAについては「平易な言葉で表せば、お客さまの立場に立って行動する、ということ。自身も含め、常にそうできているか問い続けたい」と強調。その上で、「これから先もお客さまにどれだけの価値を提供し、信頼を勝ち取ることができるか。20年には新たな中期経営計画が始まる。宅急便を通して有してきた経営資源を最適に再配置し、お客さまに喜んでいただけるような企業グループになりたい」と抱負を語った。 社長交代のタイミングについて、山内氏は「社長に就任して2年目ぐらいから後継者探しを意識するようになった。新しいものが生み出せなくなったらトップでいる必要は無いと考えている。それがこの時期になった」と明らかにした。 長尾氏は兵庫県出身。1988年ヤマト運輸(現YHD)入社。2013年ヤマト運輸常務執行役員、15年YHD執行役員兼ヤマト運輸社長兼社長執行役員。17年6月から現職。(高橋朋宏) 【写真=「期待感と責任の重さを改めて痛切に感じている」と話す長尾次期社長(左)と山内次期会長】