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川崎陸送、倉庫業をインドで始動 5年間 小型100棟整備 農産物を定温保管

物流企業

2019/02/22 0:00

 川崎陸送(樋口恵一社長、東京都港区)がインドで定温保管管理ノウハウを提供し、現地農家の収益向上を支援する取り組みが本格的に始動している。同国西ベンガル州が主導するプロジェクトと連携し、定温小型倉庫を整備して農作物の腐りやすい環境を改善することで、廃棄を削減する。1棟目の倉庫の竣工式を1月21日に開き、2月11日から業務を開始。樋口社長は「2019年に3棟、5年間で100棟の整備を目指す」と意欲を示す。将来的には国外への輸出も視野に入れており、農業を通じてインド経済の成長を後押しする。(井内亨)  同州政府は、中間業者の多層階構造による農産物の最終販売価格が高騰している現状を改善するため、新しい農産物の流通形態「スファール・バングラ プロジェクト(PJ)」を展開。州政府が各地に整備する産直マーケットに、農家が農産物を持ち込み、選果した後にグレードに応じて州政府が直接購入、指定販売所で消費者と売買する仕組みとなっている。  インドでは、定温の一時保管施設が無いことや、製造分野に優先的に電気を供給する政府の政策により、農作物が腐りやすい環境にある。更に、乱雑な取り扱いや産地の不透明さは長年の課題となっている。  川崎陸送はこうした現状を解決するため、同PJと連携し、定温小型倉庫を同州内各地に整備する事業を展開する。  同社は、州政府や国際協力機構(JICA)と連携。定温保管のノウハウを取り入れ、選果・保管スペースの延べ床面積が200平方メートルほどの倉庫をマーケット内に建設。  その1棟目が1月に完成し、竣工式には同州のアミット・ミトラ財務・商工相をはじめ、地元政治家や関係者、農家など計800人が参加した。  倉庫には、フォークリフトのバッテリーを活用した太陽光発電・蓄電システムを導入。壁面には、日本の米蔵で利用されるしっくいや、荷崩れと湿気から荷物を保護する荷ずりを活用している。倉庫では現在、トマトやナス、ピーマン、カリフラワーを取り扱っている。  従業員は現地で12人を採用。日本の従業員が現地に赴いて、整理整頓といった清潔さを保つ習慣や、農産物の選別方法といった流通加工のノウハウを直接指導している。「フォークリフトなどを取り入れても、現地のやり方に合わない」(樋口氏)ため、全て手作業で行っている。  今後、流通加工に更に注力し、農産物をパッケージして販売する方針だ。将来的には産地を記載するなど付加価値を高めるとともに、国外への輸出も見据えている。また、集荷や保管、選果の効率性も高めていく。  現在、大半の農家は大きな袋に農産物を詰めて自転車やバイクなどでマーケットに持ち込むため、輸送にかかる時間が長く、袋の下部に詰められた農産物は押しつぶされて品質が下がってしまう。このため今後は、例えば、ミルクラン方式で集荷するといった方法を取り入れ、廃棄が少なく、高品質で効率的な運営を目指していく。 【写真=日本の鏡開きに当たる儀式を行い、倉庫の竣工を祝う樋口社長(右から2人目)ら】





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