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経済同友会/提言、自家用トラック活用を 外国人運転者 在留資格付与「直ちに」

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2019/02/12 0:00

 経済同友会(小林喜光代表幹事)は5日、自家用トラック、新幹線を活用した物流版シェアリング・エコノミーや、外国人トラックドライバーの解禁など物流改革の具体策を提言した。深刻な労働力不足を発端とする物流危機を回避し、持続的な経済成長や競争力強化につなげるのが目的。「時間的な猶予は無い」として、自家用有償運送の解禁や外国人ドライバーへの在留資格付与などに直ちに着手するよう求めている。  2017年に物流改革を通じた成長戦略委員会(渡邉健二委員長、日本通運会長)を立ち上げ、1年半にわたり検討。5日、発表会見を開き、渡辺委員長が提言のポイントなどを説明した。  既存資源の有効活用や共有化を図るための物流版シェアリング・エコノミーと、先進技術の活用、聖域の無い国内制度改革を「足元の問題として、すぐに実現すべき」として、具体策を示した。  シェアリング・エコノミーでは、ドライバー不足解消や生産性向上、環境負荷低減の観点から「自家用トラックの活用が望ましい」と主張。輸配送手段の確保が困難となっている地域に限定した上で、安全運転支援システムの搭載車や、改善基準告示を順守した労務管理システムを導入・利用した事業者に対し、自家用トラックによる有償運送を容認するよう求めた。  また、日本貨物鉄道(JR貨物)の積載率、輸送量が限界に近づき、トラックから鉄道へのモーダルシフトのネックとなっている状況を解消するため、新幹線による貨物輸送を提案した。まずはダイヤに余力のある九州、北海道の両新幹線と、東北新幹線の仙台以北を想定。旧型の車両を改良し、ロールボックスパレット(かご台車)による積載や、客貨混載などの方式を採用すれば「大掛かりな投資は不要で、実現の可能性が高い」としている。  更に、メーカーなどによる共同配送といったサプライチェーン(供給網)全体での物流効率化・標準化に取り組む上で「輸送容器や施設などの規格が各社で異なることが大きな障壁になっている」と指摘。梱包や荷姿、輸送容器など有形物に加え、共通コード・受注・出荷・在庫などの情報、発注単位、リードタイム、納品頻度などに関する「物流プラットフォーム」の構築を提起した。  聖域の無い制度改革では、4月から導入予定の新たな外国人材の受け入れ制度(特定技能)に関し、「労働力不足が特に深刻なトラックドライバーとしての活用が政府、国会で議論の俎上(そじょう)に載っていない」ことを問題視。安全が担保される人材で、かつ一定の基準を満たした安全運転支援システムを搭載した車両を条件に「在留資格を与える」よう求めた。  これらの取り組みは国家プロジェクトとして、推進主体となる省庁横断の組織を設置し、予算と権限を一元化するよう提案。なお、自家用有償運送の解禁、新幹線物流、外国人ドライバーの活用などは、推進主体が直ちに着手することを要望。規格化や物流プラットフォームの構築については、ドローン(小型無人機)、隊列走行といった先進技術の積極的活用とともに、20年以降に中長期的に実現する取り組みに位置付けている。 【発表会見で渡辺委員長(右)らがポイントを説明】





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